よりアーティスト性を高めたハリー・スタイルズ、1Dでは表現できなかった姿がここに(Album Review)

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 ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズによるソロ・デビュー・アルバム『ハリー・スタイルズ』が、2017年5月12日にリリースされた。本作からは、先行シングル「サイン・オブ・ザ・タイムズ」が世界84か国のiTunesチャートで1位を獲得し、UKチャートとオーストラリアで1位 米ビルボード・ソング・チャートでも4位まで上昇する大ヒットを記録した。

 その「サイン・オブ・ザ・タイムズ」は70年代風のロック・バラードで、ハリーのライティング能力や歌唱力が存分に活かされた傑作。本作は、その他のナンバーも全曲ハリー自身が制作を手掛け、プロデュースは、日本でも大ヒットしたマーク・ロンソンの「アップタウン・ファンクfeat.ブルーノ・マーズ」(2015年)などを手掛けたジェフ・バスカー、カルヴィン・ハリスやショーン・メンデスといった人気シンガーのヒット曲に携わるキッド・ハープーン、エド・シーランやテイラー・スウィフトの大ヒット作を手掛けたタイラー・ジョンソンが担当している。

 1曲目の「ミート・ミー・イン・ザ・ホールウェイ」は、ロッド・スチュワートを彷彿させる、70年代初頭の英国風ロック。その他にも、60〜70年代を意識した「カロライナ」や、ファンキーにシャウトする「オンリー・エンジェル」や「キウイ」、ギターリフが印象的な「ウーマン」など、クラシカルなロック・チューンが並ぶ。一方、「トゥー・ゴースツ」や「エヴァー・シンス・ニュー・ヨーク」、「スウィート・クリーチャー」など、フォーク調のミッド・チューンもすばらしい。アコギ1本で弾き語りする、ラストの「フロム・ザ・ダイニング・テーブル」は、ライブで歌っているハリーの姿が目に浮かぶようだ。

 ハリーのソロ・デビュー・アルバム『ハリー・スタイルズ』は、決して売れ線とは言えないが、1Dのアルバムでは表現できなかったことをやり遂げ、よりアーティスト性を高めた傑作になっている。アルバムの評価とレビューを集積するウェブサイト“メタクリティック”でも、100のうち72の平均スコアを獲得し、ローリングストーン誌でも高い評価を得ている。セクシーな背中を披露した、水が滴るジャケット・アートも完成度が高い。

Text: 本家 一成

◎リリース情報
『ハリー・スタイルズ』
ハリー・スタイルズ
2017/5/12 RELEASE