からだエイジング : 寝ている間も喉がカラカラ! 喉の渇きは病気のサイン?

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一度気になると気になり始めてしまうのが、喉の渇き。たとえば、日中の喉の渇きはもちろん、夜、寝ている間でも喉がカラカラで目覚めてしまう……なんてこと、ありませんか? これって病気なの? 喉の渇きから想定するからだの変化について、聖マリアンナ医科大学 特任教授の井上肇先生に聞いてみました。

 

まずはおさらい。喉が渇く仕組みは? 理由は?

喉が渇く理由と仕組み

私たちのからだはおおよそ60%くらいが水分で成り立っています。もちろん小児から老人に至るまでの加齢に伴い、からだの水分含有量は減少しますが、それでも50%くらいは水分から成り立っています。一方で私たちは、からだの老廃物を排泄するために、からだの水分を上手につかっているのも事実。

一番わかりやすいのはおしっこです。1日1.5リットルくらい尿として排泄します。ほかには、体温の調節のために不感蒸泄といって気がつかないうちに体表面から水分を、そして呼吸によって水分を排泄(蒸発)しています。この水分があってこそ、私たちのからだは体温調節をはじめとした正常な新陳代謝を維持できています。

したがって、もしも水分摂取を怠れば、水分が消費される一方で、からだは乾いていきます。この状態を脱水と呼びます。発熱などを原因として病的にからだの水分が減少したり、炎天下やスポーツなどで汗をかいたときには、脱水状態にあることを警告するために、からだは「喉が渇いたよ〜〜!」「水分が欲しい!」という信号を発します。

すなわち、日常的にも水分の摂取は必要ですが、より積極的に水分を摂りたい! 摂らねばならない!という命令を「喉が渇く」という症状で表しているわけです。

 

喉が渇いたときに飲むのは水? それともスポーツドリンク?

喉が渇いたときに飲むのは水?スポーツドリンク?

「喉が渇く(口渇)」という症状は、さきほどの単純な脱水に伴う口渇以外にも、さまざまな原因で病的に口渇症状を引き起こします。たとえば、服用しているお薬の副作用によっても口渇を招いたりもするのです。

一般的な脱水に伴う口渇の場合は、水分を摂取すればその症状は通常は治ります。しかし、この脱水にもいくつかの原因があり、からだの電解質(簡単にいうとナトリウム)の喪失に伴って、口渇症状を示している場合は、ミネラルウオーターを摂取しただけではからだが“むくむ”だけで、脱水症状と口渇は改善しません。

このようなときには、ナトリウムが含まれている飲料水(麦茶やスポーツドリンク)などを適度に水分摂取の中でブレンドすることで、からだの電解質バランスを元に戻す必要があります。

私たちのからだは、水分だけでなくナトリウムやカリウムを代表として身体内の電解質濃度も一定にしておかないと、正常な代謝、生命維持ができません。皆さんも「塩分濃度の高い食品を摂取すると、喉が渇く」という経験があるはずです。水をがぶ飲みして、翌日「からだがむくんでしまった。さらに、排尿回数も増えた」などという経験もあると思います。

これは高張性脱水という症状です。からだの塩分濃度が高くなったためにそれを補正し、からだを正常に維持しようとします。

  1. 口渇症状を示す(喉がかわいたよ〜と自覚させる)
  2. 水を摂取させる
  3. からだの中で塩分調整をする
  4. 余剰水分と塩分を尿として排泄する

脱水に伴う口渇症状は、適切な水分摂取が重要です。こういった生理的な口渇は、熱帯の海や砂漠での遭難でもない限り対処は容易ですが、問題は病的な原因による口渇です。

 

喉の渇きはからだのSOSサイン?

喉の渇きは病気?

夜間に鼻閉などで鼻呼吸ができないと口呼吸で睡眠を余儀なくされ、その結果、口腔内が乾燥して、朝「喉がカラカラ」などという経験もあると思います。睡眠時無呼吸発作などをお持ちの方はなおさらです。

近年では、ドライマウス症候群やシェーグレン症候群を原因として「口の中が乾く」に由来する口渇症状、糖尿病や腎疾患(ネフローゼ症候群)により、実際に尿量が極端に増えることによる脱水性の口渇症状、精神疾患など、その原因はたくさんあります。

また、最近では、花粉症の薬の影響で喉が渇く傾向も。花粉症の症状を抑える抗ヒスタミン薬などの一部には、服用によって「喉が渇く」感覚を引き起こす副作用があります。これは専門的にはこういった薬剤が副交感神経に一部作用する特徴を持つために引き起すと考えられており、抗ヒスタミン薬のみならず抗不安薬や抗欝薬など多種類の薬剤に共通して認められます。慢性疾患などで日常的にお薬を服用されているときには、一度医師か、特に薬剤師に相談されることをおすすめします。

たかが口渇ですが、単純に水分摂取のみで放っておくことで思わぬ病気が隠れているとしたら、それこそ取り返しがつきません。喉の渇きの原因が思い当たらないときには、一度病気を疑って検査することをおすすめします。

 

喉の渇きを無くすことはできる?

病的な口渇ではないことを前提にですが、生活環境を見直すだけで喉の渇きを軽減することもできます。たとえば、

  • 日常的にこまめに何回にも分けて水分を摂取すること(1回に150〜200mL)
  • カフェインの入っている飲料やアルコールの摂取量を控える

喉の渇きをなくすことはできる?

カフェインやアルコールの利尿作用で尿量が増えて、結果的に口渇症状を招きますので、注意が必要です。

そして、近年は濃い味ブームですが、塩分摂取が多い傾向にあります。日常的に強いストレスが加わった社会生活を営むと、それだけで唾液の分泌が減少して「口が渇く」ばかりか、味覚が鈍磨して、どうしても濃い味に傾きがちです。濃い味の食品はからだの浸透圧を変化させるので口渇を招きます。高血圧症の原因にもなりますから、特に塩分摂取には注意しましょう。

また、夜寝る前には「夜中にトイレに起きるのが面倒」と水分を控える人もいますが、これも要注意。寝る前にコップ一杯の水を摂取すると、翌日の寝起きに好影響となることは間違いありません。からだのことを思うなら、水分を控えることはしなくてもよいと思います。

 

(文・長谷川真弓)