羽化するハエ。アルゼンチン・ブエノスアイレスで(2015年3月13日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】精子に含まれるタンパク質が原因で、少なくともキイロショウジョウバエでは、雌の個体が餌をめぐって激しいけんかを始める可能性があるとする異色の研究論文が15日、発表された。

 論文によると、研究室内での実験では、キイロショウジョウバエの雌は交尾後、互いに対して以前より著しく攻撃的になり、餌の酵母ペーストをめぐるけんかで「しばしば互いに頭突きをしたり、たたき合ったりしていた」という。

 論文を発表した英オックスフォード大学(University of Oxford)の研究チームは、交尾を経験した雌のキイロショウジョウバエが経験前のキイロショウジョウバエに比べて、はるかに長時間にわたるけんかを起こし、それが大げんかに発展する可能性も高いことを発見した。

 今回の論文の主題は一見するととっぴに感じられるかもしれないが、生物学者らの間で広く支持されている「雌対雌の攻撃性の高まりは、子のための餌をめぐる争いによって引き起こされるもの」とする基本前提に異を唱えている。

 今回の最新研究では、交尾で子が生まれたかどうかに関係なく、キイロショウジョウバエの雌が交尾後に凶暴になることが分かった。

 これは「雌の明らかな気性の変化において、繁殖は要因になっていない」ことを意味すると、研究チームは結論づけた。

 またこのことは、雌を凶暴化させたのが、交尾の行為自体もしくは精子で運ばれた何かであることを示唆していた。

■「性ペプチド」で凶暴化?

 研究チームが引き続き行った実験では、雌の個体を精子のない雄と交尾させた結果、繁殖能力のある相手との交尾に比べて、雌の攻撃性レベルが上昇しないことが明らかになった。

 ハエの精子に含まれる「性ペプチド」と呼ばれるタンパク質を加えると、凶暴性のレベルがはるかに高まることを、研究チームは発見した。

 雌の攻撃性の上昇と産卵および子育てとの間に関連性があることが、動物数種を対象とする数多くの研究で示されている。

 その要因は食べ物をめぐる争いの増加だとこれまで考えられていたが、この説はもはや疑わしいと思われると、研究チームは指摘した。

 性ペプチドの凶暴化作用については、持続時間や恩恵などの究明を試みるために、さらに研究が重ねられる予定だ。

 論文の共同執筆者で、オックスフォード大のエレノア・バース(Eleanor Bath)氏は、AFPの取材に「雌が攻撃的になることは、実際には雌ではなく雄が自身の利益のために操作している行動なのかどうかを解明するための研究を進めている」と語った。

 他の昆虫が同種の行動を示す可能性は非常に高いと、論文の執筆者らは付け加えている。

 この現象に関する理解を深めることは、害虫駆除に役立つかもしれない。昆虫の個体数を抑制するために、攻撃的な雌を野生に放つなどの応用例が考えられるだろう。

 論文は、米科学誌「ネイチャー・エコロジー・アンド・エボリューション(Nature Ecology and Evolution)」に掲載された。
【翻訳編集】AFPBB News