加入しないと損する「確定拠出年金」

写真拡大

■専業主婦にも解禁!加入しないと損する

資産形成を図るうえでは、税優遇の特典がある制度をしっかりと利用したい。特に勤労者にメリットが大きいのが、「確定拠出年金」である。

確定拠出年金とは、企業が出すお金の運用先を従業員が選び、将来、年金や退職一時金として受け取るもの。企業によっては一定の範囲で従業員自らも資金を出せるし、勤務先に企業年金の制度がない人や自営業者は、「個人型」というタイプに加入して資金を積み立てられる。

法改正により、2017年1月から勤務先に企業型年金の制度がある人や公務員、専業主婦も個人型への加入が可能となった。

確定拠出年金では、配当金や売却益など、運用によって生じた利益が非課税となる。普通なら約20%が引かれるため、このメリットは大きい。

また60歳以降に一時金で受け取る場合は退職所得控除が適用され、差し引かれる税金が軽減される。年金受け取りでは公的年金控除の対象となり、公的年金(国民年金、厚生年金)との合計が一定の範囲であれば税金もかからない。

さらに大きいのが、拠出額(積立額)が全額、所得から控除される、という点である。たとえば毎月2万円を確定拠出年金に回した場合、所得税や住民税の課税対象となる所得が年間で24万円減り、その分、税負担が軽減される。所得税の税率は、課税所得が330万円超695万円以下の人で20%、695万円超900万円以下の人は23%と、所得が多い人ほど軽減効果が大きい(収入のない専業主婦は実質的にこの恩恵は受けない)。

投資に関して税が優遇される制度には「NISA(少額投資非課税制度)」もある。

年間120万円まで、株式や株式投資信託を購入でき、利益が非課税になる。非課税期間は5年で、6年目に非課税枠に移せば、最長10年まで課税されない。新規に投資できるのは2023年までだが、恒久化する可能性もあり、利用価値はある。

とはいえ、確定拠出年金とNISAどちらを使うべきかといえば、確定拠出年金に軍配が上がるのは明らかである。

確定拠出年金は所得控除という強力なメリットがあるが、NISAは運用利益が非課税になるだけ。税優遇の特典は確定拠出年金のほうがはるかに大きい。

またNISAで買えるのは株式や株式投資信託といったリスク商品のみだが、確定拠出年金では預金や保険商品も選択できる。50代半ばまでは株式投資信託を選択するのがオススメだが、預金や保険商品などであっても、所得控除のメリットは使えるため、それだけでも効果が大きい。

ただし、確定拠出年金は60歳まで引き出せないのに対し、NISAでは引き出しについての制限がない。投資はしたいが、60歳まで資金をおいておけない、といったケースではNISAが選択肢になるだろう。

確定拠出年金をはじめるタイミングは、最低生活費の4カ月分程度の預金をキープでき、この先5年程度のライフイベント(教育費、クルマの買い替えなど)費用の見込みが立っている人。毎月の拠出額は、無理のない額にし、徐々に金額を増やしていくといいだろう。

個人型は銀行や証券会社、専業会社などに申し込むことになるが、対象が広がることで、手数料や品揃えもよくなっていくだろう。まずは先進国の株式または日本株に投資する投資信託を選び、扉を開くように投資対象を広げていくといい。

----------

深野康彦
ファイナンシャルリサーチ代表。AFP、一級ファイナンシャルプランニング技能士。独立系FP会社などを経て、2006年ファイナンシャルリサーチ設立。近著に『ジュニアNISA入門』など。
 

----------

(ファイナンシャル・プランナー 深野 康彦 構成=高橋晴美)