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藤村岳の「男美均整のミナオシ」



「通常、男性がめったに触れないであろうコスメや身だしなみの最新情報や技術などを紹介し、日々の生活を新しい視点から見直せるようにしたい」という、男性美容研究家・藤村岳が、一流男子の所作や振る舞い、装いを身につけることの大切さを毎月綴る。

以前、『男のエステはエグゼクティブの証。初挑戦の前に知っておきたい予備知識』というコラムを執筆した。今回はその実践編。そこから一歩進んで、どんなスパの何を選ぶべきなのかを考察したい。都会とリゾートではスパのメニュー選びや心構えがまるで違うからだ。

沖縄の自然を満喫するリゾートスパの完成形



沖縄・名護市の中でも喜瀬の高台にある「ザ・リッツ・カールトン沖縄」。ここで体験できるのが『ザ・リッツ・カールトン スパ by ESPA』である。ESPAはイギリスのスパブランドで、よく海外で受けている。しかし今回は地元沖縄の産物を使った『琉球ネイチャーエレメンツ』があることを知った。



ザ・リッツ・カールトン スパ by ESPA

電話予約:0980-43-5691

ザ・リッツ・カールトン沖縄

住所:〒905-0026 沖縄県名護市喜瀬1343-1

営業時間:9:00〜21:00

身体と土はひとつで、その土地で育ったものを食べるのが体に良いという食養法の身土不二(※身土不二=しんどふじ。食養運動のスローガン。地元の旬の食品や伝統食が身体に良いという意味)のような沖縄のご当地トリートメントに魅力を感じたのだ。このコースはボディとフェイシャルを一度に行え、「沖縄の古くからの生活習慣や身体の自然な周期と関わっている月の満ち欠けのサイクルを取り入れ、沖縄の大自然のエッセンスが五感を目覚めさせる」と謳う。

まずは、沖縄の海水と紅イモから作る紅塩のフットトリートメントから始まった。温かい湯のボウルに両足を浸して旅の疲れを流してもらい、これから始まる長い癒やしのひと時に思いを馳せよう。

次はボディスクラブ。全身の余分な角質を取るのに有効で、特徴は命の塩と言われる『ぬちまーす』を使うこと。非常に微細な粒子で肌に負担をかけずにオフできる。こうして余分な皮脂や汚れをリセットすることで、この後のトリートメントで使う精油などをより受け入れやすくさせることができるのだ。

柔らかくシルキーなスクラブで磨き上げた後、一旦シャワーでオフ。さて、ここから本格的なリラックスタイムが開始する。ホットストーンを巧みに使ったマッサージは、日頃、身体の深奥に溜まった疲れを引き出し、溶かしていく。その際に使用するのが沖縄の植物・月桃。ポリフェノールを多く含み、抗酸化作用があるとされる植物で、古くから珍重されてきた。そのオイルを使って、筋肉を順々にほぐしていく。

月の満ち欠けで施術が決まる



仕事だと思いつつもウトウトしてしまった。静かで落ち着いたこの状況でまどろまない人などいないはず。ホットストーンの温かさと巧みな手技、月桃の香りに包まれ、意識は薄いながら深い心地よさはしっかりと覚えている。

そうこうしているうちに、トリートメントはフェイシャルへ。このコースのもうひとつの特徴は月齢によってトリートメントが変わること。新月から満月へと向かう「再生期」と満月から新月へと向かう「浄化期」 に分け、使うコスメやプロダクツ、室内のBGMまでもが異なる。取材時は再生期に当たったので、栄養を吸収する力が高くパワーをチャージするものを使った。

施術後、普段の不摂生からのむくみや冬の乾燥でしぼんでいた顔にふっくらと内側から弾むような漲りを感じた。沖縄ののんびりした空気と相まって得も言われぬ心地良さが続く。あとは部屋へ戻ってまどろむだけ。これがリゾートの醍醐味。だから決して最終日にスパの予約を入れてはいけない。施術後は水を飲んで排出し、ひたすら休むべし。



▲広大な敷地にほんの97室しかない贅沢でプライベートな空間を体中で満喫したい。中でもスパは国内で最高峰のレベルだ。

都会のスパではフレキシブルさを堪能



打って変わって東京・虎ノ門にある「アンダーズ 東京」にも訪れた。ここはハイアットの中でも自由で友人宅のような居心地の良い空間が特徴。そんな都会のど真ん中の『AO スパ アンド クラブ』で『jiyujizai』を受けてきた。入り口にあるブレンドバーはモダンな設え、ハーブやフルーツがズラリと並ぶ。これらは単なるディスプレイではなく、施術の素材。「その日の気分や異なるニーズにお応えし、旬の素材をブレンディング」するという。



AO スパ アンド クラブ

電話予約:03-6830-7735

アンダーズ 東京

〒105-0001 東京都港区虎ノ門1-23-4

営業時間 施設:5:00〜22:00

トリートメント:10:00〜22:00

言わばレストランのプリフィクスメニューのようで、マッサージはフルボディ・フット・スクラブから選べ、ボディの施術はエクスフォリエイト(=角質除去)もしくはボディラップを、またフェイシャルはナチュラル・アドバンスとある。これらのオプション2つを組み合わせ、コースを自由自在に作るのだ。

取材時は身体の疲れが最高潮に達していた時で、迷わずボディを選択した。ボディ用のオイルには、米ぬかオイルをベースに香り高いココナツと鎮静のラベンダー、背中の荒れが気になったのでキンモクセイを加えた。さらにその後、仕事が控えていたので、レモンバームでスッキリ感もプラスすることに。

またフットケアには保湿効果もあるブラウンシュガーとハチミツをベースに、浄化のジュニパーベリーとセージ、冷え対策にジンジャーパウダーを加えてもらった。

精油の知識があれば、セラピストと一緒にあれこれと決めるこの時間が本当に楽しい。自分の身体の状態を見つめ直し、今、欲しているものを冷静に分析できるから。もし、知識がなくてもプロによるカウンセリングで決めてもらえる。何よりも自分の意見がその場で反映されるオーダーメイド感は男性に人気の所以でもあるだろう。最近はスーツも既製をそのまま着るのではなく、自分なりにカスタマイズするのが流行りなように、スパメニューもオリジナル要素が求められている。

乳鉢に材料を入れ、ごりごりとすりつぶしていく。ハーブの清々しい香りが立ち、水分と油分が乳化。「これからこの自然の恵みを肌で享受できる」と心が弾む。こんな高揚感は久しぶりだ。

ここでもフットケアから始まり、先ほどの特別なオイルで筋肉がほぐされていく。次にどうしても外せない仕事があったため「やや強めで」とお願いし、今回はあえて寝ない作戦をとることにした。



▲ユニークな仕掛けを擁する都会のスパはひと時のオアシス。自らメニュー作りに参加するアクティブさも楽しんで。

施術を受ける目的まで考えられるのが一流



もうお分かりだろうか? 都会のスパとリゾートスパの最も異なる点――。どちらもリラックスすることを追求しながらも、最終的にスムーズに日常に回帰するため、最適なメニュー選びが異なる。つまり都会のスパで施術後すぐ日常に戻るのであれば、その場で疲れをリセットすることを主目的とする。

一方、リゾートでスパを受けるのであれば、一旦日常との繋がりを完全にシャットダウンし、その後、緩やかに日常に戻ればよい。ありのままに自分を解放し、施術や空気感までをも徹底的に受け入れる。そんなスパの使い分けとメニュー選びができれば、貴方はもう一流のスパ達人と言えるだろう。

文/藤村岳

※『デジモノステーション』2017年5月号より抜粋

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男性美容研究所 藤村岳danbiken.net

藤村岳/大学卒業後、編集者を経て独立。シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論で、総合情報サイトAll Aboutの「メンズコスメ」ガイドなどとして活躍中。最新著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』(宝島社)がある。