キャリアは積みたいけど管理職にはなりたくない 「女性の活躍に関する意識調査」で浮かび上がった本音
「女性活躍推進法」が施行されて1年。「女性の活躍」という言葉も世間やメディアをにぎわせてきました。
実際に働いているとあまりピンとこないかもしれませんが、果たして当事者の女性が活躍しやすい環境は整ってきたのでしょうか。
ソニー生命保険はこのほど「女性の活躍に関する意識調査2017」をインターネットリサーチで実施しました。働く女性と専業主婦に対し、現在の生活や仕事についての本音を聞きました。
バリバリ働きたいけれど管理職にはなりたくない?
まず、有職女性(572人)に「現在の生活に満足しているか」について聞いたところ「そう思う」(「非常に」と「やや」の合計)と回答した人は39.0%で、4割が満足していると回答しました。
仕事に関する内容では、「女性が社会で働くには、不利な点が多い」と回答した人は79.5%と、働く女性の8割が、働きづらさがあると感じていることがわかりました。
また、キャリアについては、「今後(も)、バリバリとキャリアを積んでいきたい」では37.0%、「管理職への打診があれば、受けてみたい」では19.8%という結果に。4割弱がバリバリとキャリアを積んでいきたいと回答している一方で、管理職に就いてみたいと回答したのは2割に満たない結果に。管理職に就くことに抵抗がある人が少なくないようです。
さらに、専業主婦願望についても聞いたところ「本当は専業主婦になりたい」では39.2%となり、働く女性の4割が実は専業主婦になりたいと思っていることがわかりました。
求めるのは公的サービスの充実
続いて全回答者(1000人)に、仕事において女性が活躍するためには、国の政策や職場の改革、子育て・介護・家事の支援が、どの程度必要だと思うか聞きました。
まず、国の政策に関して「必要だと思う」(「非常に」と「やや」の合計)という回答は、「女性の活躍を推進することを目的とした法律の整備」では68.0%、「保育や介護支援の公的サービスの充実」では86.5%で、18.5ポイントの差が開きました。法律の整備よりも公的サービスの充実を望む女性が多いようです。
また、職場の改革に関しては、「職場男性の女性の活躍に対する意識改革」では82.4%、「職場の長時間労働の是正」では77.8%、「女性リーダーに対する偏見の解消」では78.5%となりました。職場の意識に関する事柄だけでなく、勤務時間にについても改革が必要であると考えている女性が多いことがうかがえました。
子育て・介護・家事に関しては「夫の子育て・介護・家事の分担比率の上昇」が84.5%となり、育児や介護の面での支援・負担軽減の必要性が高いことがわかる結果となりました。
男性は育児に参加しない?
では、女性が勤める職場では、女性の活躍支援のために実際にどのようなことが行われているのでしょうか。
有職女性(572人)に、自分の勤務先で女性の活躍支援のためにどのようなことが行われているか聞いたところ、「子どもの年齢に応じた短時間勤務制度の導入」が21.7%で最も多く、次いで、「女性採用比率の増加」が18.9%、「長時間労働の是正」が17.0%となりました。
また、先の質問で「夫の子育て・介護・家事の分担比率の上昇」を望む声が84.5%と非常に高かったのに対し、「男性社員の育児参加への意識啓発」を実施しているのは7.9%と1割に満たない結果になりました。
「活躍するより安心したい」が本音?
2016年6月に「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定され、現在推し進められています。少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口一億人を維持し、家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指すというもので、経済政策の一つと位置付けられています。
そこで、全回答者(1000人)に、「ニッポン一億総活躍プラン」について、どのように思うか聞いたところ、「『活躍』より『安心』したい」が36.6%で最も多く、次いで、「一方的に『活躍してほしい』と言われるのがストレスになる」27.5%、「家庭で、育児や家事に余裕を持って取り組めるようになる」19.3%、「家庭で、女性の役割が増えるだけになる」18.3%、「仕事で、いろいろなことに取り組みやすくなる」15.9%となり、否定的な見方が上位を占めました。
男性側の意識改革や働きやすさも考えて
「女性活躍」というと当事者の女性にスポットが当たりがち。女性の長時間労働の是正や少しでも働きやすい環境になるような整備も大事ですが、パートナーにあたる夫や男性の意識や施策もセットで考えられなければ、女性側に一方的に役割や仕事を押し付けられることになりかねません。
今回のアンケートで浮き上がった「バリバリ働きたいけれど、管理職にはなりたくない」「本当は専業主婦になりたい」「『活躍』より『安心』したい」という本音や「男性社員の育児参加への意識啓発を実施している職場は少ない」といった実態。
女性だけではなく男性側の意識改革や男性も家事や子育てを担えるような環境作りが必要と言えそうです。
ウートピ編集部