難役に挑んだ堀春菜

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 インディーズ映画界の新鋭・堀春菜が主演する映画『空(カラ)の味』の舞台あいさつが13日にテアトル新宿で実施され、堀とともに林田沙希絵、松井薫平、笠松七海、南久松真奈、井上智之、イワゴウサトシ、塚田万理奈監督が登壇。堀は同館での上映に感無量の表情を見せていた。

 摂食障害に苦しむ女子高生・聡子(堀)が危うげな女性マキ(林田)と出会うことで、心が解放されていくさまを描き出した本作は、実際に摂食障害で悩んだ経験を持つ塚田監督の実体験に基づいた人間ドラマ。「第10回田辺・弁慶映画祭」で4冠を獲得したのをはじめ、各地の映画祭で高い評価を受けている。

 大勢の観客で埋まった会場を見渡した堀は、「自分の出演作が都内で1週間続けて上映されるのは初めて。こんなに大勢の方と初日を迎えられてうれしく思います」と感謝。塚田監督も「テアトル新宿の環境がすばらしくて。ここで一生上映していたい」と笑顔でコメントした。

 聡子は進路や容姿の変化に戸惑い「むさぼるように食べて、吐く」ということを劇中で繰り返す。袋小路に迷い込んで追い詰められた聡子の痛みや切実さは観ている者の胸に迫ってくる。そんな難役に挑んだ堀は、「この役を演じることができたのは私にとって大きな出来事でした。これから取り組む作品もひとつひとつ丁寧にやっていきたい」と語り、女優としての決意を新たにしているようだった。

 そして、「ひとりひとりの役者さんやスタッフが本当にかわいらしいんです。その人たちが、私が死ぬまで黙っていたいと思っていた気持ちを全部死ぬ気で組んでくれた作品です」と切り出した塚田監督。「人が相手を思っていること。それだけが大事だと思ってこの映画を作りました。人が生きていく中で、今日は不安だけど明日がいい日だったらいいなとか。今日がダメでもいいよと言いたくて作りました。新宿のこのすばらしい環境でたくさん上映していただいて、次につなげたいと思います」と続けた。その真っすぐな言葉に会場からは万雷の拍手が鳴り響いていた。(取材・文:壬生智裕)

映画『空(カラ)の味』はテアトル新宿にて上映中