カラスの侵入に悩んだ東大の研究施設で、「カラス侵入禁止」という張り紙をしたところ、カラスが寄り付かなくなったという、ウソのような本当の話。カラスは字が読める? まさか。これ、ちょっとした心理学なのでした。

カラスに困っていたのは、岩手県・大槌町にある東大大気海洋研究所。東日本大震災で津波の被害に遭い、今1、2階は水害被害そのままに物置場、かろうじて3階を研究室としている。

3年前くらいから、カラスが配管の断熱材を気に入ったらしく、むしっては持ち去るようになった。糞や羽毛も散らばって、掃除の人が「なんとかしてください」というようになった。そこで佐藤克文・教授が専門家に聞いてみたところ、「カラス侵入禁止」の張り紙だったという。

「最初、冗談だと思ったんですが」と佐藤教授はいう。1階の破れたままの窓枠にずらりと張り紙をした。と、「本当にカラスが入って来なくなりました」。ウッソー。

カラスは人間の視線を感じる

張り紙を提案したのは、宇都宮大・雑草と里山の科学教育研究センターの竹田努・博士だった。「カラスが文字を読めたら大変なことですけど」とすっとぼけて見せたが、本当の理由はこうだった。

竹田「文字を人が読んで、不思議に思ってもらう。本当にカラスが(張り紙効果で)来ないのかなと思って、カラスの行動を見つめてもらえれば、このような効果が出てくる」んだと。張り紙を見た人は、必ず周囲にいるカラスを見る。カラスはその視線に恐怖を感じて、寄り付かなくなるのだという。

カラスは時に獰猛で、人を襲ったりもする。それが、人の視線だけで寄り付かなくなったりするものだろうか。竹田氏が行った検証実験があった。大きな飼育小屋の中にカラス10羽を放ち、そこへ人を立たせると、カラスは人の視線の背後にいる。人が振り向くと、その視線を避けて背後に移動していた。

そこで、街中のカラスはどうか、を調べた。電柱に群がる町のカラスは、1人の視線なんぞ完全に無視だ。と、竹田氏は、視線にプラスして、指でカラスを指してみた。するとどうだ。1羽また1羽と離れていった。「(カラスに)変化を感じさせるのが重要。慎重になる。みんながもう少しカラスに関心を持てば、いなくなるかも」という。

司会の羽鳥慎一「面白いですね?」

宇賀なつみアナ「怖くて、見ないようにして逃げてた。見た方がいいんですね」

野上慎平アナ「だいたいみんな恐れちゃってるのがよくなかった。逆だった」

住田裕子(弁護士)「時々襲うじゃないですか。あれは?」

野上「ちょうど今の時期、4月から6月は、ヒナがかえって飛行訓練中なんですって。そのヒナを守るために、時に威嚇する」

竹田氏はまた、「東大の研究所だから効果があったのではないか」ともいう。研究所の人たちは真面目で、生物が好きな人が多く、張り紙を見ると足を止めてしばらく観察するから、だという。

羽鳥「追い払うためにカラスを見ましょう、ではいけなかった」

野上「それだと興味が......」

羽鳥「心理戦......」

そこで野上は、一般の方には、として出したのが、「超男前のカラスがいます。探してください」。これなら、みんな「どれだ、どれだ」となるだろうというわけ。カラスじゃなくて、人間への心理戦だった。