連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第6週「響け若人の歌」第36回 5月13日(土)放送より。 
脚本:岡田惠和 演出:田中正  視聴率:  %(ビデオリサーチ社調べ 関東地区)前日比


36話はこんな話


ついに赤坂のすずふり亭を訪ねたみね子(有村架純)を、鈴子(宮本信子)と省吾(佐々木蔵之介)は歓待してくれる。

同じ朝ドラ「あまちゃん」(13年)で、母子役だった宮本信子(夏ばっぱ)と有村架純(春子役の小泉今日子の少女時代)がついに出会ったということでSNSが盛り上がった。
「あまちゃん」ではお互い素直になれない母子だったが、「ひよっこ」ではじつに優しい関係になっているところも感動ポイントだ。

「私は、鼻高々でありました、はい」(みね子)


「この道をお父さんもお母さんも歩いたんですよね、そう思うとなんだか不思議な気持ちになります」
赤坂をすずふり亭を探して歩くみね子。
かつて知った人が、ここを歩いたり、これを見たりしただろうという感覚は、ほんとうに不思議。その人への想いが強ければ強いほど、きゅっとなる。

赤坂の商店街は、セットではあるが、上野駅に続いてエキストラを多めに配して、賑わいを演出している。
時計店のショーウインドウでお母さん手製のブラウスを着た自分の姿を見るみね子。
とても素敵で、愛子にも褒められて、「私は、鼻高々でありました、はい」と嬉しい。
電気店で、自分の作ったトラジスタラジオが売られているのを見るみね子。
心うきたつ瞬間の数々。
ラジオは9800円。みね子のお給料よりも高価だった。

「そうか、レストランはそういう仕組になってるのか、そうか」(みね子)


すずふり亭に到着したみね子。
「この人(宮本信子)は、以前、私のお母さん役だったんですよね、そう思うとなんだか不思議な気持ちになります」と有村架純が思ったかどうかはわからない。視聴者は確実にそう思っていた。
俳優たちは新たな役を生きている。
「谷田部さん、いばらき」と鈴子はすぐにわかる。
なんでこんなにちゃんと覚えていてくれて、かつ優しくしてくれるんだろう。神様たちの店にしか見えない。
みね子が土産に渡したかんぴょうを、省吾は喜んで受け取り「のりまきつくるか、まかない」とさっそく活用しようとしてくれる。こういうのが最も報われる。
「はじめてもらったお給料でここに来て、自分のお給料で食べんだって決めてた」みね子だったが、ちょうど昼休憩中だったため、思わず「そうか、レストランはそういう仕組になってるのか、そうか」と本音が声から出てしまう。それを聞き逃さない省吾たちは、特別に店を開けてくれる。あー、もう、いい人攻撃に身震いする。これは「会いたくて会いたくて震える」西野カナの的心の震えとでも言えばいいのだろうか。ちょっと違うか。

今週2回目の「なんだこれ」出た。


心はさらに震える。
予算と、すずふり亭のメニューはちょっと釣り合わず、困ってしまうみね子。
「値段気にしないでもさ」と言う省吾を鈴子が「いいから」と止める。
「自分で稼いだお金で食べるのは美味しい」という体験を、みね子にプレゼントしたかったのだろう。
ささやかなプライドを大事にしてくれる鈴子。

結果、朝倉高子(佐藤仁美)のアドバイスで、ビーフコロッケ60円を注文する。
「ビーコロワン!」と店内に声が響き、美味しそうなビーフコロッケが揚がるところに心震え、
また泣きそうになった。なんだ、この思いやりに満ちた世界は!
そして、今週2回目の「なんだこれ」。
良かったね、みね子。
「ひよっこ」は、みね子を通して、毎日頑張っている視聴者にエールを送ってくれる。

「その晩はビーフシチューの夢を見ました。どんなもんかは知りません」
このセリフは「総理大臣になったら・・・ならないけど」のパターン。
みね子の夢見た「ビーフシチュー」とはどんなものだったのか。

仕事についての名言いろいろ


「つまんないやつがつくる料理はうまくなんないよ」井川元治(やついいちろう)
「手を抜くやつは一流になれない」前田秀俊(磯村勇人)
「働くのが好きなら生きていける」(みね子の祖父・茂/古谷一行)

すずふり亭の優しさでほっこりした土曜日。週が開けたら、またがんばって働きましょう。
(木俣冬)