3場所連続優勝の可能性は?(写真・時事通信フォト)

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 5月場所初日を迎える直前、関係者の話題の中心はやはり横綱・稀勢の里の“容態”だった。若手親方の一人は、「ガチンコ全盛期の宿命かもしれないが、稀勢の里の将来、そして角界の未来を考えると心配で……」と顔をしかめた。

 番付下位の力士が横綱や大関とぶつかる場合、相手の弱点を徹底的に突くことは悪とはされない。

「1960年代のことだが、177cm、110kgの小兵力士の栃ノ海は、素早く相手の懐に飛び込んで両前廻しを拝み取りする切れ味鋭い相撲で、第49代横綱にまで上り詰めた。しかし、その後は大鵬、柏戸を含めた大型力士から厳しい攻めを受け、椎間板ヘルニアや右上腕筋断裂などに苦しまされた。そうしたケガが原因となり、横綱在位わずか17場所で引退を余儀なくされた」(ベテラン記者)

 栃ノ海の優勝回数はわずかに3回。その“短命横綱”ぶりが先場所終盤に左胸、左上腕を負傷するという代償を払って2度目の優勝を果たした稀勢の里に重なるというのである。

「負傷したところを徹底的に攻撃され、その結果違うところを痛めることも考えられる。それほどまでに、今場所の『稀勢の里包囲網』は凄まじい」(同前)

 思い返されるのは先場所の千秋楽、1差で追うモンゴル人大関・照ノ富士と戦った本割での一番だ。稀勢の里は立ち合いで「右」に変化し、突き落としで照ノ富士を下した。

「稀勢の里には、照ノ富士が負傷した左胸を狙って頭から突っ込んでくるという情報が入っていたのではないか。思わず体が右に変化してしまったように見えた。

 今場所は、春場所で稀勢の里の引き立て役になってしまった照ノ富士はもちろん、同じ伊勢ヶ濱部屋のモンゴル横綱・日馬富士も“もう一度、土俵下に叩き落とす”くらいのつもりでぶつかってくるでしょう。もちろん、丸1年間も優勝から遠ざかっている横綱・白鵬は今場所が振るわなければ完全な主役交代ですから、生き残りをかけて必死なのは間違いない」(協会関係者)

 もはや稀勢の里の「左」が弱点なのは周知の事実だ。

「モンゴル勢が左を狙ってくるとわかっていても、横綱として土俵に上がる以上、先場所のように変化はできない。稀勢の里は名実ともに横綱相撲が求められる立場になったのですから」(前出・若手親方の一人)

 稀勢の里が場所直前に参加した出稽古、連合稽古では相手を左胸で受け止めることはできても、そこから左の押っつけで相手の上体を起こす得意のかたちはほとんど見られなかった。

「稀勢の里が出た二所ノ関の連合稽古にわざわざ一門外から参戦した白鵬は、いなす取り口ばかりの稀勢の里を見て自信を深めている様子でした」(同前)

 白鵬から稽古を持ちかけられるも、稀勢の里は回避。本場所前からすでに肚の探り合いは始まっていた。

※週刊ポスト2017年5月26日号