「Thinkstock」より

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 コインランドリーといえば、銭湯の横に併設されていてまったり漫画を読みながら自分の洗濯が終わるまで待つイメージを持っている人も多いだろう。そんなノスタルジーを感じさせるコインランドリーが、なぜか増加傾向にあるという。

 厚生労働省の調査によると、コインランドリーに分類される「コインオペレーションクリーニング営業施設」は、2015年度は全国で1万6454店舗あるという。13年度と比較すると、2年間で800店舗程度増加している。今まで銭湯の隣にあったコインランドリーは、銭湯の廃れに伴い減少するかに思われていたが、どのようにして増加に向かったのだろうか。

●コインランドリーのメインターゲットは主婦層

 旧来の考えからいえば、コインランドリーの利用層は、洗濯機を買えない苦学生や、部屋が狭くランドリースペースがない人などだった。しかし、利用者実態のデータを見てみると、主婦層の女性陣が6割を超えているという。つまり、洗濯機や洗濯乾燥機を持っている層が利用しているといえる。では、なぜ彼女たちはコインランドリーを利用するのか。

 その理由は、「乾燥スピード」と「進化型ランドリー」の2つだという。

 乾燥機には、電気式とガス式のタイプがある。電気式は設置に手間がかからない半面、乾燥力が弱い。一方、ガス式は乾燥力が強い半面、設置条件が厳しくマンションでは設置できないことが多い。

 その点、コインランドリーの乾燥機は、ほぼすべてが大型のガス式だ。家庭用の電気式乾燥機で1時間かかる洗濯物も、ガス式ならば十数分で完了するということもあり、コインランドリーを利用する人が多い。

●クリーニング店の隣に併設するケースも

 コインランドリーの進化も女性利用者の促進につながっている。具体的には、カフェ併設型やコンビニエンスストア併設型など、一度に複数の用事を済ませられる施設が増えつつある。なかには、クリーニング店の隣に併設しているコインランドリーもあるという。

 にわかには信じがたいが、コインランドリーを運営する株式会社mammaciaoに話を聞いた。

「実際に、クリーニング店の横にコインランドリーが併設されているケースは多数あります。クリーニング業態において手間がかかる下着やバスタオルなどの洗濯物はコインランドリーを利用することで、クリーニング店はワイシャツやスーツなどの専門分野に特化して高効率高単価を実現できます。コインランドリーの併設が、クリーニング店の付加価値として提供されているため、ほかのクリーニング店との差別化にもつながっています」(mammaciao広報)

 ほかにも、洗い物をしたら店員が畳んでくれる「クリーニング店のようなコインランドリー」や、「女性専用のオシャレコインランドリー」など、特色のあるコインランドリーも各地に存在しています。

 一目見ただけではコインランドリーとはわからないような、レストランやバー併設型のコインランドリーは、北米やヨーロッパで10年以上前から存在していた。それが日本向けにローカライズされ、流行の兆しを見せているのではないだろうか。逆に、漫画を読みながら暇を潰すような昔懐かしのコインランドリーは絶滅してしまうのかもしれない。

●加速するコインランドリービジネスに躓きも

 こうしたコインランドリービジネスは投資的要素も強く、出店支援の業者が日本全国に約40社あるといわれている。ニーズに合わせて、投資家たちの意向を受けた業者がコインランドリーを増やす。その結果、利用者の利便性も高まり、より多くの層に浸透するという流れは強まってきている。そう考えると、コインランドリー熱は今後さらに熱くなっていきそうだが、懸念点もある。

「利用者は増加しているものの、そもそもコインランドリーが足りない状況です。国内外のメーカーに発注しても、納入予定日が決まりません。生産能力を発注数が超えている状況なのです。また、コインランドリー投資についても、人気の様相を見せています。実際に、投資したいと決めても、100人単位で順番待ちとなっています」(同)

 旧来の銭湯併設型コインランドリーは減少し、絶滅するかに思えた。しかし、新たな付加価値をつくり出し、コインランドリー熱が上昇している状況だ。この熱は、まだまだ冷めそうもない。
(文=宇佐美フィオナ/ライター)