◎メタボ健診を受けていれば健康になれる
◎テレビを見せると学力が下がる
◎偏差値の高い大学に行けば収入が上がる

一見正しそうに見えるが、実はこれらの通説は経済学の有力な研究ですべて否定されている。ここでいう「メタボ健診」と「健康」のように、「2つのことがらが因果関係にあるかどうか」を調べる方法のことを「因果推論」(いんがすいろん)と呼ぶ。
この因果推論の考えかたを一般書で初めて紹介した書籍『「原因と結果」の経済学』 が全国の書店で話題。毎日新聞朝刊、日経新聞朝刊に書評が掲載され、池上彰氏も「私たちがいかに思い込みに左右されているかを教えてくれる」と推奨。
どうすれば、ある2つのことがらが因果関係にあるといえるのだろうか。『「原因と結果」の経済学』 から、一部を特別に抜粋する。

因果関係を確認する
3つのチェックポイント

 2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じた場合、この2つのあいだには「因果関係」があるという。

 一方、片方につられてもう片方も変化しているように見えるものの、原因と結果の関係にない場合は「相関関係」があるという(図表1)。(注1)

 相関関係の場合、何らかの関係が成り立っているものの、因果関係はない。

 ここでいう「ことがら」のように、さまざまな値をとるデータのことを、「変数」と呼ぶ。変数は年齢や身長のように数値のこともあれば、性別のように男性・女性いずれかの値をとる文字のこともある。

 本連載では、変数を(1)「原因」(2)「結果」の2つに分けて考えていくことにしよう。(注2)

 2つの変数の関係が本当に因果関係なのか。これを明らかにするために必要な考えかたが「因果推論」である。

 2つの変数の関係が因果関係なのか、相関関係なのかを確認するために、次の3つのことを疑ってかかることをおすすめしたい。

 その3つとは、

1.「まったくの偶然」ではないか
2.「第3の変数」は存在していないか
3.「逆の因果関係」は存在していないか

である。

注1 相関関係という言葉を、「原因と結果の関係にあるもの」と「原因と結果の関係にないもの」の両方を含んだざっくりとした広い概念で捉えることが多いが、本連載では、混乱を避けるため、より狭義の概念を用いる。
注2 学問分野によっては、「原因」のことを「独立変数」「説明変数」「処置」「暴露因子」などと呼ぶこともある。また「結果」のことを「従属変数」「被説明変数」「アウトカム」などともいう。

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