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先週、マイクロソフトの開発者向け年次会議「Build 2017」が、同社のお膝元ともいえる米シアトルで開催された。2016年まではサンフランシスコでの開催だったが、今年(2017年)は、彼らの本拠地での開催ということもあり、運営そのものの力のいれ具合が違うように感じた。

さて、その初日の基調講演で、Satya Nadella CEOはモバイルファースト、クラウドファーストを再確認し、数々のクラウドサービスはWindowsにこだわることなくあらゆるプラットフォームに恩恵をもたらすことを改めてアピールした。Windowsへのこだわりをいっさい捨てる、くらいの勢いだ。

一方で、翌日の基調講演では、次のWindowsメジャーバージョンアップとして、Windows 10 Fall Creators Updateが発表された。2017年後半のリリースが予定され、4月に公開されたばかりのCreators Updateの秋版としてさらに完成度を高めようとしているようだ。

写真やビデオを編集する新しいアプリも追加されるということだ。これ自体はどうっていう話ではない。だが、その背景に、AIやディープラーニングに関するマイクロソフトのテクノロジーが緻密にからまっている点に注目しておかなければならない。今回の新アプリは、まず、Windowsの標準アプリであるフォトアプリに組み込みという形での追加となるが、すでに当日(米国時間11日)公開されたInsider Previewの最新版にも実装されていた。

OSに標準添付されるソフトウェアの出来映えに感心するよりも、そのバックグラウンドで、どのような技術が使われ、そして、その技術に、開発者誰もがアクセスでき、新たな機能を自分のアプリに組み込み、より魅力的なアプリに仕上げることができるということに注目すべきだ。これこそがWindowsのエコシステムであり、急浮上しているMicrosoft Graphの考え方だ。

2日目の基調講演は同社Windows and Devices Group担当上級副社長のTerry Myerson氏が中心になって行われた。世の中のすべての人のためのマイクロソフトという初日のNadilla CEOと、Windows PCが、その主としてのユーザーが所有するすべてのデバイスを分け隔てなく愛しているからこそ、デバイスをまたぐ連携であらゆる場面で役に立つというMyerson氏。まさにWindowsの光と影といったところだろうか。

もっとも、エンドユーザーにとってのWindowsのバージョンアップが、いったいどのように位置づけられるのかに対する回答はなかった。たまたまクラウドを介したクリップボード連携や、OneDriveのプレースフォルダ復活などが新機能として紹介されたが、エンドユーザーにとって、OSとしてのWindowsが新しいバージョンで、どのような利便をもたらし、バージョンアップにどのような意味があるのかを明確に示せてはいない。そこは、やはり、今後も広く知ってもらう努力を続けていかなければならないだろう。

いずれにしてもNadilla CEOに加え、クラウドのScott Guthrie氏(Cloud and Enterprise Group担当上級副社長)、AIのHarry Shum氏(Artificial Intelligence and Research Group担当上級副社長)、WindowsのTerry Myerson氏(Windows and Devices Group担当上級副社長)、やはりWindowsのJoe Belfiore氏(the Operating Systems Group担当副社長)、ミスターHoloLensことAlex Kipman氏(Technical Fellow)と、今のマイクロソフトをリードするそうそうたるメンバーが相次いでする基調講演は圧巻だった。

(山田祥平

(山田祥平)