NGT48のデビューシングル『青春時計』は、表題曲からカップリングまで「個性派」を謳うNGT48らしく全てに細やかな神経が注がれた、バラエティ豊かな素晴らしい1枚となった。

中でも「ダンス選別」楽曲と銘打って作られた『純情よろしく』は、K-POPマナーな艶を感じさせるダンスと、王道的アイドルポップスの折衷と言うべき冒険心溢れた作風が非常に面白い。その楽曲でセンターを張る本間日陽(ほんまひなた。愛称:ひなたん)の活躍が目覚ましい。センターはモチロン、「AKB48 衣装図鑑 放課後のクローゼット」では次代を担うメンバーの一人として、「AKB48総選挙公式ガイドブック2017」(講談社刊行)が選ぶ「注目の100人」の一人に選ばれるなど、日を追うごとに期待度、注目度が共に増している。

まず一目で惹かれる常に絶やさぬ笑顔。どんな時でも「にぱー」と微笑み続ける本間の姿は、まさに自身の名前のごとく太陽のよう。つられて見る人を笑顔に変える。その口元からは自身でもチャームポイントに挙げる八重歯が覗く。つぶらな黒目が光る瞳、どこかエキゾチックさも漂わせる整った顔立ち。NGT48キャプテン北原里英は「ホントに可愛いのよ!」と絶賛。北原だけでなく、AKB48/STU48キャプテンの岡田奈々も本間の虜に。岡田はSHOWROOMにてNGT48の推しメンは?の問いに迷うことなく本間と回答、「天使」と呼び愛でるほどだ。

個性的ゆえにスレスレのトークを繰り広げるメンバーが多いNGT48の中において、口調は若干舌足らずのフンワリとした口調ながらも、頭の回転の速さが受け取れる回しで場をまとめる役を担う優等生ぶり。飛びだす言葉の端々からは嫋やかさと共に知性が溢れる。過去に「涙は句読点〜AKB48公式10年史〜」(日刊スポーツ新聞社刊)の読書感想文で大賞を受賞、SHOWROOMで時折行う「ほんま、制作中だってよ」では川柳、短歌、俳句に興じるという企画を行うなど高い芸術的センスを持ち合わせているなど、ただ可愛らしいだけでない。

一方、朝ひとりで起きられず両親に起されなければ起きられないというエピソードを清司麗菜に暴露され、欅坂46『二人セゾン』の話題が上がった途端、語尾に「〜だゾン」を付けて話し始めるなど、どこか幼さ残る部分もちらほら覗かせては、荻野由佳や加藤美南から「赤ちゃん」と時に弄られることも。ただの生真面目な優等生!だけではない両義的な魅力も備えているのも面白い。

普段のホンワカ優等生のイメージは、ステージ上では一気に豹変する。幼少期より培ってきたクラシックバレエの経験を駆使した、しなやかで静かなダンス。指先からつま先まで神経の行き届いた繊細さがどの楽曲からも伝わるのが素晴らしい。ただテクニカルなだけでなく、『風は吹いている』ではトレードマークの笑顔を封印し、力強い世界観に寄り添うような険しさを漂わせれば、『パジャマドライブ』ではAメロでの可愛さ溢れる仕草から、サビのエモーショナルな展開では急にキッと前を見すえる鋭さを魅せるなど、曲ごとに表現を変えていく。歌詞を読み解いて、その世界観をいかように表現できるか?を日夜考えているという本間。彼女の素晴らしいパフォーマンスは、並々ならぬ努力があるからこそ。

北原は、日頃の練習も欠かさない本間のステージに懸ける情熱の高さも称賛。中でも『てもでもの涙』での切なさ溢れる表情に彼女の繊細な声が映えてとても素晴らしい。日下部愛菜は「私が思い描いているアイドル像そのもの」と大絶賛。メンバーからも羨望の眼差しを受ける、これぞ王道アイドル!な魅力が全て本間には備わっている。

彼女のアイドル性の高さを支えるのは、強い心にある。デビューして間もない頃、自己紹介の動画にて「48グループのエースになる!」と語った。この発言からして本間の志の高さが伝わってくる。その向上心は日を増すごとに高まり、総選挙ランクインはもちろん、ゆくゆくはNGT48のフロントに立ち引っ張っていきたいと、先日のSHOWROOMにて宣言した。自身がアイドル好きで、アイドルに勇気をもらってきた。だからこそ、人に勇気や笑顔を与えたいという気持ちの表れだ。だからこそ、どの瞬間でも手を抜かない。ステージも全力、SHOWROOM、握手も全て全力に取り組む。全てはNGT48のために。

強さの裏には優しさもある。バラエティ番組「ネ申テレビ」season22の佐渡での太鼓合宿の回にて、メンバーの不甲斐ない態度に北原が涙を流し肩を落としてしまった際に、真っ先に駆け付け謝罪の言葉をかけたのは他でもない本間だった。共に涙する本間の心根が一瞬にして伝わる素晴らしい場面だ。そんな本間の優しさへの感謝を、中井りかは隠さない。昨年開催の本間の生誕祭では、中井がいかにして本間に支えられ、勇気づけられたかを熱い文章にしたためたほどだ。

「周りを明るく照らし、温かく包むお日様のような人になってほしい」と名付けられた名前の通りの人生を今、本間は真っすぐ歩んでいる。『青春時計』type-Cに封入された個人PVの最後を、自らのメッセージでこう締めくくる。

「本間日陽、たくさんの笑顔を咲かせていきたいです」

その言葉通り本間はNGT48の活動を通して、新潟から全国に笑顔を咲かせていくことだろう。(田口俊輔) 写真(C)AKS