By NASA's Marshall Space Flight Center

NASAなどが進めている人類の火星到達・移住計画について、1969年に打ち上げられたアポロ11号で月に降り立ったアメリカの元宇宙飛行士であるバズ・オルドリン氏は、多額の予算を費やしている国際宇宙ステーション(ISS)を今すぐ退役させて火星開発に集中すべきだと意見を表明し、自身でも開発プランを公表しています。

Buzz Aldrin to NASA: Retire the International Space Station ASAP to Reach Mars

http://www.space.com/36787-buzz-aldrin-retire-international-space-station-for-mars.html

2017年5月9日〜11日にかけて開催された2017 Humans to Mars SummitのカンファレンスでISSの退役を進言したオルドリン氏は、その理由を「シンプルなことで、我々は年間35億ドル(約4000億円)という予算を費やす余裕がないため」としています。

ISSの運用を停止すると宇宙開発に関する研究が停滞することになりますが、オルドリン氏は地表高度2000km以下の地球低軌道(Low Earth Orbit:LEO)における宇宙活動を民間企業に移管させるべきであるとしています。現に、すでにスペースXやオービタルATK、航空宇宙大手のボーイングなどの民間企業は、ISSに貨物や宇宙飛行士を輸送している実績を挙げています。

またオルドリン氏は、膨張式の宇宙ステーションモジュールを開発するビゲロー・エアロスペースや、同じく宇宙ステーション関連の開発を行っているアキシオム・スペースなどがISSとは別の宇宙ステーションを建設すべきとも述べているとのこと。そして、中国が2020年台前半に建設を予定しているという宇宙ステーションと運用データを共有することで、共同宇宙開発を実現することを可能にすべきと語っています。

民間企業による宇宙ステーションの建設は、オルドリン氏が提唱している火星入植計画における第1のステップとなっています。この計画は、惑星間を往復して人類や物資を輸送できる宇宙船「Cycler(サイクラー)」を用いるもので、オルドリン氏は「人類輸送の基礎となるのがサイクラーです。外部に可動部品を持たない非常に堅牢な作りで、およそ30年間にわたって運用し続けることが可能です」と語っています。

Buzz Aldrin Astronaut Apollo 11, Gemini 12 » Cycling Pathways to Mars



そして第2ステップとなるのが、各国が共同して地球〜月の間を結ぶサイクラーの運用を実現させるというもの。これにより月面で有人基地の建設を実現し、現地の物資を利用して燃料を生産するなど、その後の火星移住に必要な研究を進めることを目指しています。

オルドリン氏はこれらの開発を進めることで、地球近傍を周回する彗星への有人飛行を2020年までに、そして金星への接近飛行を2024年までに実現させ、初めての火星移住メンバーの打ち上げを2030年代初頭に実施するという計画を立案しています。オルドリン氏は「明確にしておきたいことは、我々は火星に定住するための持続可能なプランを築き上げてきたということです。今回は『国旗』や『足跡』を現地に残してくる、というものではありません」と、自身の月面着陸を引き合いに出して計画の確実性を述べています。

なお、ISSに関しては2024年までの予算が決定されており、その後も1000億ドル(約11兆円)の予算を投じて2028年まで運用を延長する計画を探っている段階とのこと。NASAは現段階においてもISSを「火星への旅における重要拠点」と捉えており、2030年代に人類を火星にまで送り届ける計画を進めています。