ホイールベースとの比率で大まかな走りの特性が決まる

トレッドはクルマの主要諸元のひとつで、左右のタイヤの中心間距離のこと。輪距やトレッド幅ともいう(もうひとつ、タイヤが路面と接触する部分のゴム層=トレッド面という意味もある)。クルマの基本的な性格・特性は、このトレッドとホイールベースで決まるといっても過言ではなく、クルマのパッケージを語るうえで、非常に重要な数字。

単純にいえば、トレッドが広い=ワイドトレッドになれば、ハンドリングは機敏になり、トレッドの狭い=細長いクルマは、直進安定性がよく乗り心地がいい。より詳しく説明すると、ホイールベースを前後トレッドの平均値で割った数字を「ホイールベース・トレッド比」といい、乱暴に言えば、このホイールベース・トレッド比でクルマの走りの性格は決まる。

たとえばNDロードスターのホイールベース・トレッド比は、1.54とかなり小さい。ミニバンのトヨタ ヴォクシーは、1.92と大きい。クラウンアスリートは、1.84。スズキ スイフトスポーツは、1.65。スバル XVは、1.71。ホンダの新型NSXが、1.60といったところ。

運動性能を重視するスポーツカーなら、スイフトの1.65あたりがひとつの上限。乗用車なら、クラウンの1.84ぐらい。サードシートまであって、ホイールベースが長いミニバンは、必然的にホイールベース・トレッド比が大きい。

全高との比率や前後のトレッドの差も重要な要素

もうひとつ、「全高(重心高)÷トレッド」も重要な数字。重心高が同じなら、トレッドが広い方がロール剛性は高くなる。この重心との関係に加え、タイヤサイズも影響してくるので、じつはほとんどのクルマは、前後のトレッドが微妙に違う。

上記の例でいえば、NDロードスターは、前1495mm:後1505mm。クラウンアスリートは前後とも1545mmで同じ。XVは前1555mm:後1565mm。日産ノートは、前1470mm:後1465mm。市販車でいうと、トレッドの数字はフロントがややワイド、リヤがややナローというのが多い。

しかし、ポルシェ911のように、RRでリヤタイヤの負担が圧倒的に大きいクルマは、リヤのトレッドが大胆に広く、タイヤの幅も大きい。

逆に一般的なFF車は、フロントのトレッドのほうが広いケースが多い。前後でトレッドが異なる場合、基本的にはトレッドの広い側の安定性が上がる。このようにトレッドは、前後の重量配分や、前後のタイヤサイズが同サイズかどうかでも、影響力が変わってくる。

簡単にトレッド幅が調整できるレーシングカートの例でいえば、フロントのトレッドが広く、リヤが狭いと、オーバーステア傾向に、逆にフロントが狭くリヤが広いとアンダーステア傾向なるといわれているが、アンダー・オーバーといっても、ターンイン、クリッピング、立ち上がりのどこでその症状が出るかによっても、フロント・リヤ、どちらのトレッド幅をいじるかが変わってくるので奥が深い。

というわけで、とりあえず気になるクルマは、ホイールベース・トレッド比を計算してみて、どういうハンドリングの素姓のクルマかを、いろいろ調べてみると面白いだろう。