ナッツアレルギーの男性、常にエピペンを携帯していたが…(出典:http://www.heraldscotland.com)

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夢を叶えるために努力して仕事を得た男性が、このほど「ナッツアレルギー」が原因でその夢を諦めざるを得なくなってしまった。男性は「アレルギー症状を持つ人たちには僕のような目に遭ってほしくない」と英紙『Herald Scotland』や『Metro』で語っている。

スコットランドのイースト・ダンバートンシャーに住むゴードン・ユールさん(21歳)は世界を見て回りたいという気持ちが強かったことから、大学を卒業して学位を取るよりも夢への実現に向けて進路を決めた。

ゴードンさんは4年前に高校を卒業すると、商船隊に加わるべく3年間専門学校に通い、油田掘削装置の給油船の士官候補生として研修も受けた。夢のためにたゆまぬ努力を続けたゴードンさんは、2016年8月に専門学校を無事卒業すると、海事沿岸警備庁(The Marine and Coastguard Agency、MCA)の試験に合格、海技免状を取得して甲板部士官となった。世界中のどんな船の上でも仕事ができる資格を得たゴードンさんはようやく夢が叶い、「Northern Lighthouse Board」で二等航海士としての職に就いたが、船上で働き始めて3週間後、その状況は一変した。

実はゴードンさん、生まれた時からナッツアレルギーを持っている。これまでショック症状に陥ったことはなかったが、常に持病には注意が必要だった。船上で働くことに対して検診を受けなければならなかったがその際、ゴードンさんは海軍医師にナッツアレルギーのことを述べた。また検査結果では問題がなく、診断書では医師から「健康上特に問題なし」とお墨付きをもらっていた。

ところが船上で出されたチキンソテーにピーナッツソースが使われており、空腹だったゴードンさんは自分の持病を伝えてあるシェフを信用していたこともあって、そのまま口にした。だがシェフの料理で、ゴードンさんはアナフィラキシーショックを起こしてしまったのだ。

船上からヘリコプターで病院に搬送される前に、応急処置のためエピペンを注射したゴードンさんは病院で一晩過ごし、翌日には復帰できた。しかし再検診を受けるように言われたゴードンさんは、今回の検査で「船上での仕事は永久的に不適切」と医師から告げられたのである。

ゴードンさんのショックは言うまでもない。「最初の検診の時には大丈夫だったのに。この宣告にバカバカしい気持ちと不公平さを感じます。僕はいつも自分のアレルギー症状のことを伝えてきました。しかし今は、夢とキャリアを諦めなければならなくなったのです」と肩を落とす。

労働組合に相談するも、「船の上ではない事務的な業務に変更するか、全く別の分野の仕事を探すかのどちらかだろう。君はまだ若いし、不運だったとしか言いようがない」と言われゴードンさんは失望した。

そんなゴードンさんは現在、海事沿岸警備庁の医師に問い合わせをしており、法的措置も検討しているようだが、弁護人は「最初の検診にあたった医師の怠慢によって、被害者の将来に多大な影響を与えたと訴えることができたとしても、実際にはそれを証明することが困難です。組合がゴードンさんに言ったように、もうこれは不運としか言いようがないでしょう」と話している。

やっと叶ったと思ったゴードンさんの夢は、世界を目にする直前に打ち砕かれてしまった。MCAのスポークスマンは、ゴードンさんについてコメントを控えているものの、遠洋航海の勤務が適切か否かはほとんどが初期の段階で判断されるが、病気の発症などによりキャリア途中での変更もあり得ると述べている。

出典:http://www.heraldscotland.com
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)