日曜ドラマ「フランケンシュタインの恋」(日本テレビ 日よる10時30分〜)
脚本:大森寿美男 演出:狩山俊輔  


「明日のおまえにお帰り」「明日の自分にただいまって言え」
名言ふうな言い回しが大好きな稲庭恵治郎(光石研)の歓迎の言葉ではじまった第3話。
深志研(綾野剛)が稲庭工務店で再び働くことになった。
工務店の社長が食卓でいいセリフを垂れ流すシーンは、カメラがぐるぐると食卓のまわりを回って、頭がクラクラ。
ここで研さんがはじめて食べる納豆が、あとから大変なことになろうとはそのとき、思ってもみなかった。
先に書いてしまうと、またしても布団にキノコが生えたシーンがある。
今回は、納豆を食べたことでネバネバえのき茸が。
布団をめくってゾワゾワする大西礼芳がユーモラスなりアクションしていることで若干フォローされているものの、やっぱりゾゾっとなる。布団にキノコを、再度やる制作陣の覚悟は相当だと思う。でも、もうやめませんか・・・。

3話では、なぜ、研さんはキノコを生やしてしまうのか、早くもその謎が明かされる。
3つのエピソードを鮮やかに絡み合わせながら、その謎に向かっていくところが、朝ドラ「てるてる家族」も大ドラマ「風林火山」も手がけ、2000年、当時、最年少で向田邦子賞を受賞している大森寿美男の手腕を感じさせる。ちなみに、大森寿美男と朝ドラに関して「みんなの朝ドラ」にインタビューが掲載される。

さて、その3つのエピソードだ。

1.研さんの悩み


「人間を殺す方もしれない怪物は、人間に恋をしてはいけないのでしょうか」
過去(明治時代)、津軽継実(二階堂ふみ)に似た女性に触れて殺してしまった研さんは、継実の姉(田島ゆみか)まで殺してしまいそうになって、自分の存在に不安を覚え、大好きな天草(新井浩文)に悩み相談をする。ラジオネームはフランケンシュタイン、年齢120歳で応募したら、採用されてしまう。

天草は、ラジオのメインパーソナリティ十勝みのる(山内圭哉)に質問をぶつけると、みのるは「まずおまえが死ね」とばっさり。
それに反して天草は、真剣に言う。
「おれは怪物こそ、人間に恋をすべきだと思います。人間の中にどんどんはいってそのなかで生きてどうしたらひとを殺さずにすむかそのことを必死になって考えるべきだと思う」
「ひとを殺しちゃいけなってことは誰かをちゃーんと好きになって、ひとを心から生かしたいと思うやつしかわからないことだとおれは思う」
「怪物はひとを殺さずに済む恋をするしかない」

天草の言葉に心打たれたのか、研さんは手から菌が沸くのを押さえ込む。ポロポロっと落ちる菌。
どうやら菌はコントロール可能らしいという希望が出てきた。
ただ、継実と話したあとには、キノコが首から生えてしまう。萌え表現ですね、これは。

2. 室園の過去


「殺すぞ」が口癖、乱暴な言葉遣いの室園美琴(川栄李奈)の元彼(深水元基)が追いかけてきた。
彼女に暴力をふるった挙句、売り飛ばしたという酷い男から逃げていたとき、カラオケで武田鉄矢を熱唱していた恵治郎に助けられたのだった。
人を殺すことや人に恋することの意味が理解できていない研さんは、この問題に関して、本当の恋をしたらいいのではないかと覚えたての概念を、空気読まずに語ったうえに、「社長に恋をしたんですか」とトンチンカンなことを言って室園に「殺すぞ」と瞬殺される。
だが、話はほのぼのでは済まない。工務店で研と聖哉(柳楽優弥)がふたりきりのときに、元カレがやってきて・・・。

3. 継実が深志健太郎博士の秘密を探る


図書館で、山の上の病院の歴史を調べると、結核治療の病院から伝染病の研究所になったことがわかる。
単身、山の中の研さんの住処を訊ね、亡くなった彼のお父さんの記録を大学に持ち帰る継実。
骸骨に「深志研太郎博士、こんにちは」と挨拶する二階堂ふみがかわいい。そしてこの骸骨に肉がつくと斎藤工になるかと思うと、微笑ましい気持ちになった。

斎藤工演じる博士は、死んだ細胞を再生させる菌の培養に成功したのだ。
斎藤工が喜々として、動き回ったり、ずぶ濡れになったりしている場面が、ほんと、面白い。とくに何かしているわけではないのに、そこはかとなくマッドな博士感が滲む。柄本明とはまた違う異形感。

で、この、研さんの悩みと、室園の過去と、継実の奮闘の3本柱で進み、クライマックスは、継実の持ち帰った記録から、教授(柄本明)が「そうか、心もまた電気なのだ。人間の感情はカラダの中の電気信号によって伝達される。彼のカラダはその強さによって菌を放つのかもしれない。心のなかでなにかが高まったとき菌を放つのだ」と解明したとき、室園を追いかけてきたDV男に襲われたことから研さんの怪物性が覚醒して、菌が放たれるーー! という場面が交互に描かれてスリリングだった。
これは、台本もそうなのか、編集でバラして繋いだのか、どっちだろうか。

そして、ハッピーエンド


継実は研に「このキノコが好きなんです」とか「もし、このキノコがあなたの心だとしたら、あなたは人間に恋をしてもいいと思います」とか「いろいろ問題もあると思いますががいっしょに生きてみませんか。わたしといっしょに人間の世界で生きていきましょう」と完全に告白のようなことを言い、涙涙の研さん。男泣きといえば妻夫木聡の十八番だったが、綾野剛の時代がやってきたか。
そして、主題歌「棒人間」が、映像一部新バージョンとなって流れ、涙と感動がみっちり詰まった3話であった。

ただ、聖哉の「誰かと生きて誰かを好きになることは誰かを嫌ったり憎むことでもあるんだ」という言葉も気になる。
まだ3話だから、すべてまるっと収まるわけもない。
5月14日(日)、第4話放送! 布団にキノコ、三度目はあるか!
(木俣冬)