頚椎症と診断された前出の女性患者の場合は、過敏になった神経を鎮める薬を処方され、しびれは治まった。完治したわけではないが、日常生活に不自由はなくなったという。頚椎症のように、神経の圧迫で出るしびれは高齢者でしばしば見られるというが、神経の異常がある部位によって、しびれを感じる場所も異なってくる。
 「手の指がしびれる病としては、手根管症候群があります。手首付近で、じん帯と骨に挟まれた神経の通り道(手根管)が圧迫され、親指から薬指のしびれが出てしまう。これは普段、手作業が多い仕事に就く人が多く罹るとされます。また、ひじの内側の神経が骨などで圧迫される肘部管症侯群でも、薬指や小指にしびれが出る。頚椎症でも、脊髄が圧迫される頚椎症脊髄症の場合は、手や腕だけでなく、下半身にもしびれや痛みが出ることがある。日常生活に困る場合は、手術を検討する専門医も多いとされます」(前出・専門医)

 頚椎症の治療では、症状を和らげる薬や首を固定する装具を使い、首を安静にする。装具を使うときは、転ばないように注意することが必要だ。痛みやしびれがひどくなる姿勢は避け、首に負担が掛からないよう枕の高さを調節することも心掛けなければならない。
 「腰痛や肩こりには、筋肉の緊張を取り除き血液循環をよくする運動が効果的と言われますが、神経の圧迫によるしびれに対しては、運動は勧められない。軽く首や肩を回す程度の運動程度が適しているとされます」(健康ライター)

 また、お尻から足の裏にしびれや痛みを感じた場合は、腰部脊柱管狭窄症が疑われる。しびれは左右どちらかの場合と、両足の場合とがある。どちらも加齢による腰椎の変形やずれによって脊柱管が狭くなり、脊髄や神経根が圧迫されて起きる。長時間歩いたり、立ち仕事を続けていたりするとしびれは出やすい。
 「腰部脊柱管狭窄症は、背筋を反らすと痛みが増すため、前かがみになりがちです。痛くて動くのがおっくうになると、さらに症状が進行するため、腰を反らす姿勢を避けながら、軽い運動をしたほうがいい」(社会医学研究センター・村上剛士氏)

 しびれの治療にあたっては、症状を和らげるために過剰な神経活動を抑える薬や、炎症を抑えるくすりなどが使用される。神経の圧迫が強く、日常生活に影響が大きい場合は、骨を削ったり、金具で固定したりする手術を検討することになるという。
 「手足の先端部分にしびれや痛み、さらに冷える場合は、糖尿病で起きる神経障害が原因の場合もあります。初期の糖尿病は自覚症状がなく、手足のしびれをきっかけに糖尿病が見つかることもある。仕組みとしては、末梢神経の神経細胞内に糖が過剰に取り込まれることにより、神経細胞の働きに異常が起きると考えられています。しびれを放置しておくと悪化し、激痛が走る上に壊疽状態につながる可能性も出てきます」(専門医)
 糖尿病が原因の場合、悪化した神経障害を治療することは難しく、食事や運動、薬で血糖値をコントロールして、さらなる悪化を防ぐしかない。

 原因を見分けるためには、もちろん専門医の受診を受けるのが確実だ。肝心なのは、そのしびれを放置しないということだ。