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これまで「伝統的」なダミー人形は軍人のような体形だった。あたらしいものは最近の平均的な人間を参考に研究を重ね、リアルな仕上がりになっている。

衝突実験用のダミー人形の開発/製造を行っているヒューマネティクス社(アメリカ)は、ミシガン大学で国際的な自動車事故に関する医療を専門とするスチュワート・ワン教授の指導のもと、70代女性のような、BMI指数29(標準よりも少しだけ肥満気味)の人形と、188cmでBMI指数35(完全無欠の肥満体)の男性の人形を作った。

「いま使われているのは、安全性を確かめるためのダミー人形です。メーカーはこれを使い、各社のクルマの安全性について努力を惜しまないでいます」

「ただし、彼らは大切なことを見逃しています。それはダミー人形の規格が50年も前のモノであるということです」と彼は語る。

2013年にカリフォルニア大学と共同で行われた調査によると、交通事故によって死亡した人の、実に78%が平均体重よりも重たいという結論が出た。

また、高齢の人は下肢ではなく、胸部に損傷がある場合が多い。

時代がすすめば、ひと(人形)も変わる

新しいダミー人形は、数千もの交通事故被害者の体をCTスキャンし、3D化することで得た身体的な特徴、衝撃の伝わり方による怪我の経過・傾向などの計算に基づいて設計されている。

ワン氏は「ヒューマンティック社では計算によって人間の体を解明することで、より現代の平均的な人間に対応した実験が可能となりました」と語る。

「いずれのダミー人形もプロトタイプの段階ですが、実現化に向け、目下全力で取り組んでいます」と語るのは副社長のジム・デイビス。

幾多ものCTスキャンで得たデータをもとに、臓器だけでなく骨なども再現した。よってクラッシュ・テストではより詳細な人体への影響を測ることができるようになっている。

「何度もテストを繰り重ね、骨を再現するのに最適な材質を見極めたりもしました。精密な仕上がりとなっているのです」と副社長。

現在、チームは、臓器損傷によるトラウマをより少なくするために、ミシガンとオハイオの州立大学とともに折れた肋骨は臓器のどの部分をどのように傷つけるのかを研究している。

副社長は「実際の実験はまだ必須と言えます。ただし科学の進歩はめざましく、近い将来あなたの体でヴァーチャルな衝突実験ができる日がくるかもしれません」と締めくくった。