WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

 ジョン・デーリー(51歳/アメリカ)が、PGAツアー・チャンピオンズ(米シニアツアー)のインスペリティー招待(5月5日〜7日/テキサス州)で優勝した。デーリーがツアーで勝利を飾ったのは、PGAツアー時代、2004年のビュイック招待(現ファーマーズ・インシュアランス)以来、実に13年ぶりのことだ。

 最終日はまさにデーリーらしく、アメリカンフラッグ柄のパンツに真っ赤なシャツという派手なウエアで登場。プレーにおいても、出だしからイーグルを決めるなど豪快なゴルフを披露した。久々の”ビッグ・ジョン”の勝利には多くのファンが歓喜し、デーリー人気はいまだ衰えていないことを示した。


シニアツアー初勝利を飾ってシャンパンシャワーを浴びるデーリー 最終18番(パー4)は、先にホールアウトしたトミー・アーマー・サード(57歳/アメリカ)、同じ最終組のケニー・ペリー(56歳/アメリカ)に2打差をつけて迎えた。上がり3ホールは難易度が高く、この18番もグリーン右手前に池が広がり、硬いグリーンに多くの選手が泣かされていた。

 デーリーはティーショットをユーティリティーで打った。やや左に曲げてしまうが、そこから見事にグリーンをとらえると、デーリーはゆっくりとグリーンに向かった。

 同ホールのフェアウェーには、昨年9月に亡くなったアーノルド・パーマーを偲んでトレードマークの”傘”のロゴがペイントされていた。デーリーはそこまで来て足を止めると、ひざまずいてキッスを送った。瞬間、コースは大歓声に包まれた。

 結局、2オンしたデーリーは3パットのボギー。それでも、同組のペリーもバーディーパットを沈めることができず、デーリーは1打差で逃げ切った。

 ホールアウト後、エステバン・トレド(54歳/メキシコ)らツアー仲間からシャンパンシャワーを浴びせられたデーリー。久しぶりの美酒を大いに味わって、喜びを噛みしめていた。

「最後は3連続ボギーと、ちょっと格好の悪い終わり方になってしまったけれども、勝利は勝利。(シニアツアーで)こんなに早く勝てるとは思っていなかったよ」

 昨年のこの大会がPGAツアー・チャンピオンズのデビュー戦だった。シニアデビューしてからちょうど1年、デーリーは見事栄冠を手にしたのだ。

 ただ、本人は「こんなに早く」と語ったが、周囲はもっと早いうちからの活躍を期待していた。そうした状況にあって、デビュー以来、ここまでの最高位は昨年7月のディックススポーティンググッズ・オープンの11位。今大会が22試合目の出場だった。彼を取り巻く関係者をはじめ、メディアやファンにとっては、「やっと」という思いのほうが強いかもしれない。

 さて、デーリーのプレーぶりと言えば、かつては300をヤードかっ飛ばし、ロングヒッターの代名詞のように言われていた。当時と比べれば、さすがにその飛距離は落ちているが、今季の平均飛距離は294.4ヤードと同ツアーの4位。PGAツアーに置き換えても63位に位置し、66位(293.5ヤード)のフィル・ミケルソン(46歳/アメリカ)を上回る。持ち味である豪快さは、今なお健在だ。

 翻(ひるがえ)って、フェアウェーキープ率は64.29%(67位)、パーオン率は70.49パーセント(45位)と、こちらは平凡な数字が並ぶ。とはいえ、本人曰く「一時の荒れたプレーからすると、ずっと安定している」という。ショットの正確さは以前よりも増しているようだ。

 ちなみに、デーリーは今年から『バーチカルグルーブ・ドライバー』という、フェースの溝が縦溝のドライバーを使用。同クラブを発売するメーカーと複数年契約を結んだ。

「縦溝のテクノロジーのおかげで、ボールを真っ直ぐ飛ばすことができる。今季は(このドライバーに)大いに期待したい」

 契約時にそう語っていたデーリー。今回の優勝は、このドライバー使用の成果が早くも表れた結果かもしれない。

 デーリーはこれまで、公私ともども自由奔放に生きてきた。全米プロ、全英オープンと2度のメジャーチャンピオンにも輝き、人気プレーヤーとして名を馳せる一方で、プライベートでは重度のアルコール依存症、ギャンブルによる借金、4度の離婚など、数多くのスキャンダルを起こして世間を騒がせてきた。

 それでも、デーリーはゴルフでの活躍を諦めず、プレーできる場所を求めて世界中を渡り歩いてきた。そして、ついにPGAツアー・チャンピオンズという、彼にとって居心地のいい”場所”を見つけた。この1年は、ようやくプレーを楽しむことができるようになったようだ。

 デーリーの勝利には、トランプ大統領もすぐさま反応。「おめでとう。デーリーは絶対に諦めない。素晴らしい勝利だった」と、自身のツイッターでお祝いメッセージを発信した。

 今回の勝利で、デーリーはPGAツアー・チャンピオンズの年間レース、チャールズ・シュワブカップ賞金ランキングでも8位に浮上した。首位を行くのは、常勝ベルンハルト・ランガー(59歳/ドイツ)。続いて、2位はフレッド・カプルス(57歳/アメリカ)、3位はミゲル・アンヘル・ヒメネス(53歳/スペイン)とその昔、ともにレギュラーツアーで戦ってきた仲間ばかりだ。

 今年は、9月に日本開催のJAL選手権(9月8日〜10日/千葉県・成田GC)がある。このままデーリーも、トム・ワトソン(67歳/アメリカ)、ランガーやカプルスらと一緒にツアーで活躍すれば、同トーナメントがさらに盛り上がることは間違いない。

「このツアーには、たくさんの仲間がいる。仲間と一緒にビールを飲んで、大勢の家族に囲まれて食事を楽しむことができる。多くの友だちと過ごすことができるこのツアーが、僕には一番合っているのかもしれない。そして、この勝利は一番の自信になったよ」

 13年ぶりの美酒に酔いしれて、そう語ったデーリー。これで勢いに乗って、これからもなお一層大暴れしてくれることを期待したい。

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