北朝鮮が新たに米国人2人を拘束し、北朝鮮に抑留中の米国人は計4人となった。北朝鮮がお得意の「人質外交」を始めたようで、朝鮮半島情勢が緊迫化する中、米朝対話の糸口を探っているともみられる。写真は北朝鮮。

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2017年5月13日、また、お得意の「人質外交」?北朝鮮が新たに米国人2人を拘束した。北朝鮮で拘束された米国人は計4人。北朝鮮は過去にクリントン、カーター元大統領の訪朝と引き換えに、米国人を解放した“実績”がある。朝鮮半島情勢が緊迫化する中、米朝対話の糸口を求め3匹目のドジョウを狙っているともみられる。

北朝鮮の朝鮮中央通信は7日、平壌科学技術大学(PUST)に運営関係者として勤務していた米国人キム・ハクソン氏を6日に拘束したと報じた。「反(北)朝鮮敵対行為を働いた容疑」で、北朝鮮当局が「犯罪について具体的な調査を行っている」という。北朝鮮は3日、PUSTに会計学の教授として招聘(しょうへい)されていた米国人キム・サンドク氏を4月22日に拘束したと発表したばかりだった。

英BBCによると、PUSTでは主に北朝鮮のエリート層の子女が教育を受けている。2010年に創設され、運営資金の大半は米国と韓国のキリスト教慈善団体が拠出している。大学では複数の外国人が教えているとされる。

PUSTの2人と合わせ、北朝鮮が拘束中の米国人はオットー・ワームビア氏、キム・ドンチョル氏の計4人。オハイオ州出身でバージニア大学に通っていたワームビア氏は昨年1月に北朝鮮を訪れた際、「敵対行為」を理由に拘束された。韓国生まれで米国に帰化したキム・ドンチュル氏は15年10月から拘束されている。ワームビア、キム・ドンチョル両氏は裁判で労働教化刑を言い渡されて服役中だ。

韓国・中央日報によると、最近相次いだ米国人拘束について、韓国政府当局者は「前例を見ると、今後の朝米対話を念頭に置いた一種の『人質外交』である可能性があり、注視している」と述べた。

「前例」は米国の元大統領2人の訪朝を指す。クリントン元大統領は09年8月、中朝国境地帯で北朝鮮に拘束された米国人女性記者2人の身柄を引き取るため平壌入り。翌10年8月にはカーター元大統領が不法入国の罪で服役していた米国人男性の解放を目的に北朝鮮を訪問した。クリントン元大統領は故金正日総書記とも会談。北朝鮮メディアは2人が握手する写真を掲載し、大物との交渉を「外交的勝利」とばかりに誇示した。

北朝鮮による米国人拘束には核・ミサイル開発放棄の圧力を強めるトランプ政権に揺さぶりかけて交渉に引き込み、米朝対話の突破口にしたいとの思惑が隠されているとみられる。スパイサー米大統領報道官は8日の記者会見で「懸念している」として、北朝鮮で米国の利益代表を務めるスウェーデン大使館などを通じ解放に向けて取り組む考えを強調した。果たして「人質外交」はトランプ政権にも通用するのだろうか。(編集/日向)