ドイツ政府は、自国駐在の北朝鮮大使館が、民間施設に建物を貸し出す行為を禁止する方針を決めた。

ドイツ・ミュンヘンの日刊紙、南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)によると、この対象となるのは首都ベルリンにあるシティ・ホステルだ。市内中心部にあり、ブランデンブルク門、ポツダム広場などの観光名所まで徒歩で行けて、宿泊費は1泊17ユーロ(約2100円)と格安だ。若者を中心に人気が高い。

このホステルの建物は、北朝鮮大使館のものだ。あるビジネスマンが、月3万8000ユーロ(約472万円)の賃料を支払い、2004年から運営している。

旧東ドイツ政府は1974年、戦前は豪華ホテルと教会が建っていたこの土地に数棟の建物を建て、北朝鮮に貸し出した。100人以上の外交官が勤務していた北朝鮮大使館だが、ドイツ統一後にその数が減り、今では10人前後しかおらず、建物が余っている。そこで、外貨稼ぎのために民間業者に貸し出すことにしたものと思われる。

しかし、北朝鮮の5回目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議を受けて、米国と韓国はドイツにホステルの閉鎖を求めていた。また、ドイツ政府も制裁履行のために、ホステルの閉鎖を以前から検討していた。

決議は「全ての国連加盟国が、その領域内において北朝鮮が所有し又は賃貸している不動産について、外交又は領事活動以外のいかなる目的での使用も禁止する」としている。また、外交目的で登録された不動産を営利活動に使用することは、外交官の特権を定めたウィーン条約に違反する行為だ。

ホステルの従業員は、ベルリンの日刊紙、ターゲス・シュピーゲルの取材に対して口をつぐんでいる。一方、宿泊客の16歳の高校生は、公共放送ARDの取材に対し、「独裁国家を支持しない、閉鎖するしかない」と答えている。また、引率の教師はホステルと北朝鮮との関係を知らなかった、知っていたら別のところに泊まっていた、と答えた。

北朝鮮は、ポーランドとルーマニアでも同様のビジネスを行っているが、両国政府は北朝鮮に対して民間業者への施設の貸出をやめるように圧力をかけている。