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南井正弘の「RUNNER’S DIGIHIGH」



現在所有するユニーカーは約1000足! 世界中のマラソンレースに出場する南井正弘が、ランナー目線で綴るデジタルの”グッとくる話”

同クラスのアイテムより1万円程度リーズナブル



一昔前とは異なり、現在では多種多様なランニング対応ウォッチがリリースされている。しかしながら「餅は餅屋」なのだろうか?

マーケットにおいて高いシェアを占めているのは、古くからスポーツウォッチを展開してきたガーミンやスントといった専業ブランド。ランナーからは片手間で参入しているように見られるのだろうか? スポーツブランドがリリースしたデバイスは、TOMTOMがOEMで生産していた『NIKE+スポーツウォッチ GPS』がプチヒットしたものの、それを除くと成功とは言い難い状況が続いている。鳴り物入りでデビューした『アディダス マイコーチ スマートラン』や、リーズナブルなプライス設定で販売動向が注目されたアシックスの『AG01』なども、その厚い壁に跳ね返されてきた。昨年10月末の販売開始以来、現在最も良好なセールスを誇るランニング対応ウォッチといわれているのは『Apple Watch NIKE+』であるが、その基本スペックは『Apple Watch Series 2』と共通であり、それはアップル主導で開発されているから、スポーツブランド発信とは言いづらい。

そんな厳しい状況を打破すべくリリースされたのが、ニューバランスの『RUN IQ』だ。このモデルは、GPS機能はもちろんのこと、胸部に心拍ベルトを巻くことなく、心拍数が計測可能な手首部分の光学式心拍計も装備。さらには5気圧防水となっているなど、現在マーケットで販売されるこの種のプロダクトでもトップクラスの性能を誇っている。それでいながら実勢価格3万7584円という、他ブランドの同程度の機能を有するプロダクトと比較して、1万円程度安いリーズナブルな価格設定となっている点にも注目が集まるだろう。



NEW BALANCE

RUN IQ

実勢価格:3万7584円

この「ニューバランス」の『RUN IQ』を実際に使用してみると、タッチパネルとプッシュボタンを組み合わせた操作はそれほど難しくない。スクリーン上のランニングのアイコンをタッチするとランがスタートする。ペース、経過時間、距離、心拍数などの測定が行え、スクリーン上に表示されることは、従来のランニング用デバイスと同様。初めて使用した機種なので、どのボタンを押すと表示が切り替わるかや、スワイプするとどのように画面が変わるかといったことに最初は戸惑ったが、タッチパネルとプッシュボタンの操作は、しばらくすれば直感で対応できるレベルであった。



▲待機時の画面。ランニングのアイコンをタッチしてスタート。



▲走行距離、経過時間、ペースが表示された画面。文字も大きめで見やすい。



▲手首部分に光学式心拍計も装備し、心拍数の計測も簡単。

アプリを組み合わせて使う若干複雑な印象がある



ランニング中に特に感じたのは、ベルトのフィット感が良いこと。これまで使用したランニング用デバイスでは手首の形状にフィットしにくい素材のものもあったりしたが、このモデルに使用されるベルトは柔軟かつ肌触りの良いもので、フルマラソンのような長時間のランでも快適さを失うことはないだろう。カラー液晶のディスプレイは走行中も見やすく、いつも通りの6kmランを終了。個人的に最も使用頻度の高いランニング対応ウォッチである『スント スパルタン ウルトラ』と『Apple Watch NIKE+』と、操作方法は全く異なるものの、あまり戸惑うことなくランを開始して終了することができたのは比較的好印象だ。

そしてこの『RUN IQ』で興味深いのは、走行データの管理を自社アプリではなく、世界中で使用するユーザーが急増しているスポーツアプリの『Strava』と提携することで、そちらでデータ管理を行えること。そして「Strava」を使用している人はわかるだろうが、このアプリはSNSのように自分のデータを発信することもできるので、世界中のランナーと交流することも可能だ。



▲走行データは世界中で愛用者が急増している「Strava」で管理できる。

この『RUN IQ』だが、SNSやメールなどの通知機能も便利で、AndroidとiPhoneの両方に対応している点もありがたいところ。Apple Watchの場合は、シリーズ2から本体にGPS機能が搭載されたから、それ単体でも使用できないこともないが、iPhoneがないとデータの蓄積と分析は不可能。それを理由にApple Watchの購入を諦めていたAndroidユーザーのランナーは少なくないのに対して、『RUN IQ』のほうは両方のユーザーを取り込むことができる。



▲普段使いも考えているユーザーにはインスタグラムやメールなどの通知機能も嬉しい。

ちなみに『RUN IQ』をフルに活用するためにはスマートフォンにいくつかのアプリが必要となる。まずスマートフォンとのペアリングにAndroid wearが、そしてデータを蓄積するために「Strava」が、最後に「Strava」との連携のために『My NB』というアプリが必要になる。このあたりはiPhoneにプリインストールされたアクティビティアプリさえあればOKというApple Watchと比較して、面倒だと思うランナーも少なくないだろう。



▲「Strava」との連携には「My NB」のアプリが不可欠。

あと、充電に関しては、日常生活プラス6卍度のランならば、4〜5日充電しなくても大丈夫な『スント スパルタン ウルトラ』とは異なり、走った場合はその日のうちに充電したほうがよさそうだ。これはApple Watchも同様なので、これらの点を問題ないと思えば、ニューバランスの『RUN IQ』は、これまでスポーツブランドからリリースされたランニング対応ウォッチにおいて、最も高い評価を与えることができると思う。

文/南井正弘

みないまさひろ/フリーライター、ランニングポータルサイト『Runners Pulse』編集長。某スポーツシューズブランドでプロダクト担当を10年務める。かつて、伝説的クイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)のスニーカー部門チャンピオンにも輝く。ほぼ毎日のランを欠かさないファンランナー。

※『デジモノステーション』2017年5月号より抜粋

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