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JLRのCEO「ディーゼルには未来がある」

スペッツは、ジャガー・ランドローバー(以降、JLR)は今後も先進ディーゼル技術を推進するという。厳しさを増すエミッション規制に適合していくうえで、それは不可欠だという立場なのだ。

「最新のディーゼル技術は、CO2排出量とパフォーマンス、粉塵の問題で進歩を続けており、ガソリンと比べて環境面でより優れています。ディーゼルには未来があるに違いなく、またそうあることが必要なのです」

スペッツは、ディーゼルのエミッション問題は自動車に限定的なものではなく、運送業や自動車産業全体に関わるものだと見ている。

商用車やトラック、バスなどは、ほぼすべてがディーゼルで、それらすべてが、特に大都市では、大気汚染の元凶となっているからだ。

「完全な自動車産業は、規制を全面的にクリアできるディーゼルを必要としています」

2025年までにディーゼル禁止とする地域も

しかし、パリやマドリッド、アテネ、メキシコシティでは、2025年までにディーゼル車を走行禁止とする予定だ。

スペッツが強調するのは、古いディーゼルと、より新しいものとの違いで、後者はエミッションがクリーンで現行の規制に適合している点だ。

彼に言わせれば、昨今のディーゼル批判は、古いディーゼルと、あたらしいディーゼルをひとくくりにして、すべてが悪者だという方向へミスリードするものだということになる。

「古いディーゼル車が吐き出す黒煙が、悪いものだということは誰の目にも明らかです。これらを、より新しいものへと置き換えていくことが必要なのです」

排気のクリーンな最新ディーゼルは、ハイブリッドやEVが完全に主流を取るまでの橋渡しとして必要だ、というのがスペッツの主張だ。

そうした先進的なエコカーの本格普及には、より厳しいエミッション規制をクリアすることが求められる。しかし自動車業界は、それを目指す代わりに、ガソリン・エンジンへのシフトを図ろうとしている。

「この状況は業界にとっても、JLRにとっても、ひいては欧州全体にとってもよくないことです」とスペッツは嘆く。

とりわけ欧州は、ほかの地域よりディーゼル依存度が高い。そこでのディーゼル離れは、欧州メーカーのエミッション改善に関する開発力に、大きな影響を与えることを、彼は危惧している。

「ディーゼル叩き」の発端はフォルクスワーゲン

彼が示唆するのは、ディーゼル叩きの発端が、フォルクスワーゲンのエミッション偽装にあるということ。「この手のソフトウェアの操作は、容認できないことです。不幸にも、フォルクスワーゲンだけでなく、業界全体がその余波を被りました」

先進ディーゼルの利点を活かすためには、啓蒙活動が必要だというのが、スペッツの考え。

「もはや自動車産業の信用はなくなりました。世間はわたしたちを、ルールを破るものであり、正しい情報を発信していないと見なしています。わたしたちの技術が、健康や環境への害を減らすために、購入できるベストなものだと示さなければなりません」

またスペッツは、ディーゼルが消滅するべきだと規定する、明確なデータは存在しないと主張する。

「内燃機関から通信技術による自動運転が可能な電動パワーソースへのシフトは同時に進むでしょうが、完全に切り替わるものではありません。2020年になっても、ディーゼルが消え去ることはないでしょう。わたしたちは、ディーゼルとガソリンの内燃エンジンと、バッテリーを用いたEV、それら両方の開発を進める必要があります」

ピュアEVが、将来的なパワートレイン技術のカギを握るということは、スペッツも認めるところで、JLRは2025年までに、それの販売比率を25〜30%程度まで引き上げる計画だ。

2020年までに半数のモデルにEVグレードを

まず2020年までに、ラインナップの半数に、何らかのかたちで電動パワートレインを採用する。それはマイルド・ハイブリッドのようなものから、ジャガーI-PACEのようなEVまでを含めてのことだ。

ただし、彼は燃料電池の将来性には否定的だ。「環境面で考えれば、お粗末なもの」という判断らしい。「未来があるのは、バッテリーを用いたピュアEVだけです。それ以外に、自由をもたらしてくれるテクノロジーはありません」

彼は、英国政府がバッテリー開発への援助を強化すべきで、成果を得るために官学協力を進めるべきだと訴える。

現時点でJLRは、バッテリー技術のすべてをアジアから調達する予定で、それは単純に英国内に供給源がないからだという。

「JLRに限らず、英国はもっと動かなければなりません。学術界も、先進モビリティへの挑戦に力を入れるべきです。島国ですから、輸送面でその技術が持つ意味は大変大きいのです」

「英国は、それを手掛ける生産者を必要としています。先進モビリティを前進させる機会を取り逃がしているのです。英国は世界に誇れる大学があります」

「未来はバッテリーEVとともにあることは自明なのに、なぜそこに彼らのスキルを活かそうとしないのでしょうか。国内に適切なバッテリーがあれば、明日にでも買いたいくらいです」
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