SF映画の名作「ジュラシック・パーク」では、近づく恐竜の存在がコップの中で揺れる水の波紋で表現されています。この、恐竜そのものを見せずに近寄ってくる圧迫感が感じさせるワンシーンの撮影には聴衆の想像を超える苦労があったようです。

Inside Jurassic Park’s Most Iconic Special Effect - YouTube

この撮影を担当したのは、スペシャル・エフェクツ・デザイナーのマイケル・ランティアーリ氏。「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」などスピルバーグ作品に多く参加しているほか、「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト」にも参加しているとのこと。



園内を走り回る自動車のダッシュボードに置かれた水の入ったコップ。その水面がティラノサウルス・レックス(T-REX)の歩く地響きで揺れて、危険が近寄っていることを暗に示す印象的なワンシーンです。



このシーンのアイデアそのものは、スピルバーグ監督から電話で伝えられたとのこと。車のオーディオでファンクバンド「アース・ウインド・アンド・ファイアー」の曲を聴いている時に、重低音でルームミラーが揺れているのを見て、「同じような効果が映画の中にほしい」と電話をかけてきたそうです。そこでランティアーリ氏は「コップに入れた水が揺れる様子にしよう」と考えたとのこと。



しかしその実現には3週間以上の長い時間がかけられることに。思っていたほど簡単な作業ではなかったようです。



難しかったのが、映画に登場するような「真円状の波」を作ることだったとのこと。



大きな物を放り込むと「ドボン」と水全体が揺れてしまい……



小さなものでも望む波は生じず。そもそも、何かが放り込まれるのが見えるわけにもいかず、この方法は却下されることに。



何度もスピルバーグ監督にサンプル映像を見せるも、なかなかOKが出ない日々が続いたそうです。



そんな時、息子と一緒に夜更かしをしていたランティアーリ氏。息子はギターを引いていたそうです。



ランティアーリ氏はギターの上に水の入ったコップを置き……



弦を弾いてみました。



すると、探し求めていた真円状の波がコップの中に表れたとのこと。その様子を見て「これだ」と思ったそうです。



とはいえ、車の中にギターを置くわけにはいかないので、ランティアーリ氏はコップの底に穴を開けてギターの弦を通し……



ダッシュボードにセット。



そして弦を車の床に開けた穴から通し……



車の下で手で持って、弾いてみました。



ビヨン



すると、狙っていた波が見事に再現されることに。スピルバーグ監督に映像を見せたところ、「これでやっとT-REXが現れたね」と満足したようで、映画の中で採用されることになったそうです。