秋吉、山田哲人、原樹理の「登場曲」ドラマ

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 ホームゲームで打者が打席に向かうときや、投手がマウンドに上がるときに、選手に応じた登場曲が流れてくる。

 毎年のように登場曲を変える選手がいる一方、オリックス時代から「SHAKE」(SMAP)を使い続ける糸井嘉男(阪神)のように、登場曲を変えない選手もいる。その選曲ぶりは選手それぞれといったところだ。

 今回はヤクルトファンの筆者が、神宮球場に流れる登場曲のアレコレを紹介しよう。

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■野球部の先輩が贈った秋吉亮の登場曲

 ヤクルトファンにとって、9回表に流れると安心するのが秋吉亮の登場曲「No.1」(SEita)だろう。ヤクルトファンに馴染みの曲だが、聞いたことのない方に説明すると、この曲は秋吉の足立新田高校野球部時代の1学年先輩にあたるSEitaが秋吉のために贈った曲だ。

 「No.1」は、歌詞の一部分の頭文字を縦読みすると「あ」「き」「よ」「し」「り」「よ」「う」と、秋吉の名が浮かび上がることでも知られている(ヤクルトファンの間では)。

 気づいていなかった方は、ぜひ神宮球場で確かめ、先輩・後輩の絆を感じとってほしい。

 開幕から低空飛行が続くヤクルトだが、神宮球場の9回表に「No.1」が流れ、秋吉が試合を締めくる展開が増えることを期待したい。

■山田哲人の登場曲はGReeeeNが提供

 ヤクルトにおいてつば九郎と人気を二分する(?)山田哲人。その登場曲が昨シーズンの途中から変更された。

 多くのヒット曲を生み出しているGReeeeNが、山田のために「遠くの空 指さすんだ」を提供したのだ。

 「遠くの空 指さすんだ」は当初、登場曲として使われる部分しか耳にすることができなかったが、神宮球場でのイベントの際にロングバージョンが披露された。山田とGReeeeNの結びつきの強さを感じさせる。

 今シーズンも「遠くの空 指さすんだ」が使われており、そのミュージックビデオも神宮球場で公開された。

 絶不調だった山田は5月に入って調子が上向いてきた。「遠くの空 指さすんだ」というタイトルのように、遠くの空の下にあるリーグ優勝を指差し、3年連続トリプルスリーとともに目指していると信じている。

■原樹理は生まれる前のヒット曲!

 2015年のドラフト1位で入団した原樹理。昨シーズンは先発ローテーションとして期待されたものの2勝8敗。悔しい思いをした。今シーズンは、中継ぎとして結果を出し、先発登板も果たした。

 その原はジュリーこと沢田研二の「TOKIO」を登場曲に使っている。もちろん、ジュリーと樹理(じゅり)をかけての選曲だ。

 「TOKIO」のリリースは1980年1月1日。ヤクルトの最年長選手・石川雅規の誕生日は1980年1月22日。つまり「TOKIO」はヤクルトのどの選手よりも誕生日が古いことになる。当然、原は「TOKIO」を知らなかった。自分の登場曲が「TOKIO」だと聞いたとき、アイドルグループの「TOKIO」の曲だと思ったという……。

 しかし、この選曲でオールドファンの心をつかんだことは間違いない。

 ドラフト1位の意地に掛けて原が「TOKIOの夜」に飛ぶことを期待したい。

 なお、通常、打席に入る際には登場曲はワンフレーズしか流れない。しかし、相手投手の交代するとき、あるいは相手チームがマウンドに集まっている際は、長く流れる。筆者にはそれが密かな楽しみだったりする。

文=勝田 聡(かつたさとし)

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