デーモン閣下の5年振りとなるソロアルバム『EXISTENCE』がリリースされた。

今回のアルバムは、熱狂的な聖飢魔II好きとして知られる3人の著名人をゲスト作詞家として迎えたことでも話題となっている。

芥川賞作家の羽田圭介、漫画『テラフォーマーズ』原作者の貴家悠、……そして当サイト「エキレビ!」で、デーモン閣下愛があふれまくってしまった結果、一方的に自分がしゃべりまくるという謎のインタビューを掲載したことでもお馴染み、コラムニストのブルボン小林だ。

アルバムの詳細については、ブルボン自身が聞き手となった、これまた閣下愛にあふれすぎなインタビューを読んでもらうとして、今回は『EXISTENCE』のリリースを記念して開催されたトークイベントのレポート!

なんとデーモン閣下のイベント司会をブルボン小林がつとめ、ゲストに羽田圭介を迎えるという、色んな意味でスペシャルな内容。


本来ならば、抽選で選ばれし信者にのみ入場が許されるイベントなのだが、前述のブルボンによるインタビューや、リアルすぎる写真で界隈を騒然とさせたエイプリルフールネタなどで、閣下とズクズクの関係となっている(悪魔に魂を売り渡した)「エキレビ!」は特別に取材を許可されたのだ。


こんにちは、デーモンの部屋です


イベントに参加するに当たって「エキレビ!」チームとして心配だったのはやはり、ブルボンがちゃんと司会進行できるのかどうか!?

そこに関しては、本人も心配だったようで
イベント冒頭からいきなり言い訳をしていた。

ブルボン 司会は本業じゃないんでもうアップアップです。ぐだぐだになるか、ボクが暴走して閣下への思いの丈を語りすぎるか……。

閣下 吾輩は「うん」とか「ふーん」しか言わないヤツでしょ? 「エキレビ!」の取材を受けたときに聞き手がブルボン氏だったんだけど、しょっちゅうそういうことをやっている人だと思っていたら、実ははじめてのインタヴューだったんだよね?

ブルボン 逆に取材を受けることは多いんで、インタビューに答えるのは饒舌なんですけど、聞き手側としてははじめてで……。初インタビューだから、あんな風になっちゃったんですよ。

しかし、「司会は本業じゃない」と語るブルボンの元に、主催のレコード会社から送られて来たこの日の台本は、「冒頭、ブルボンさん登場、後はお任せします」という手抜……いや、ブルボンに対する信頼感にあふれた内容だったという。

閣下 ふだん本業で司会をやっている人なら(その程度の台本でも)分かるけど、聞くのは得意じゃないって言ってるじゃないか!

ブルボン 気が付いたら「後はお任せ」されちゃいましたよ(場内爆笑)。羽田くんはできる? 徹子的ポジション。ちょっとやってみてよ。

と、いきなり羽田へのムチャぶり。それを聞き逃さなかった閣下は、さささっと席を移動し、

閣下 みなさんこんにちは、デーモンの部屋です(徹子口調で)。

「10月の虹」って何のことを言ってるの


……ということで実質、デーモン閣下が司会進行(徹子ポジション)をして、作家ふたりをゲストに迎えるという形式で進行したこのイベント。

ようやく、今回のアルバムでブルボン小林が作詞を担当した「方舟の名はNoir」の話に。


この曲は、もともと「微笑み仏壇返し」というタイトルを予定していたという。まあまあ年齢のいった方なら想像が付くかと思うが、キャンディーズの「微笑みがえし」オマージュだ。

本家「微笑みがえし」がキャンディーズのそれまでのシングル曲を想起させる歌詞を散りばめていたように、「方舟の名は Noir」(微笑み仏壇返し)では、閣下がこれまでに作ってきた歌詞をイメージさせるワードが散りばめられているのだ。

しかし、アルバムリリース直後にTwitterやwebの各所で話題となっていたのが、「明らかに閣下の歌詞を引用しているっぽい場所なのに、『10月の虹』という言葉だけ、何の歌詞から引用したのか分からない」ということ。

コレには意外すぎる理由が隠されていた。

閣下 ここはEメールでやり取りしているときに、吾輩からも「『10月の虹』って何のことを言ってるの?」って送ったんだよね。

ブルボン 閣下が「!」(エクスクラメイション)名義で発表された『ASTRO DYNAMICS』というソロアルバムの表題曲の中で「october rainbow」と歌っていると思っていたんですけど……。

閣下 本当は「october rain feels…」と歌っているのを聞き間違えていたんだよね。「10月の虹」じゃなくて「10月の雨」!

……なんとまさかの聞き間違い!

ブルボン でも、閣下が「これはこれで面白いからいいんじゃない?」と言って下さって、「虹」のままにしました。ずーっと間違えて愛聴していたという、ボクの気持ちまで含めて、ご愛敬ということで(場内笑)。

他にも、ブルボンの聞き間違えではなく、閣下自身が完全に忘れていた歌詞もあったという。


閣下 「先走るお前」という歌詞が、何から引用したものなのか分からなくってね。

ブルボン 「無冠の帝王」ですよ。

閣下 「無冠の帝王」って……どんな曲だっけ? たぶん、ミサでは一度もやったことがないと思うんだ。ということは、レコーディングをやったとき以来、一度も歌っていないということで……覚えていないよね。ちょっと歌ってみてよ。

この後ブルボンは、ご本悪魔の前で歌を歌うという羞恥プレイをさせられていた。しかも大ファン(信者)たちの前で……コレはキツイ! 

ちなみに羽田は羽田で「仏壇返しっていうのはこういう技で……」と相撲技を解説する閣下の取り組み相手となって、ぶん投げられていたが。



歌詞カードがヤバイ殺人犯っぽい


一方、自身が作詞した「Stolen Face」について聞かれた羽田圭介は、歌詞カードに印刷された自分の歌詞のビジュアル的気持ち悪さに驚いたという。

羽田 他の歌詞と比べて明らかに文字が揃いすぎてて……。四角形に収まり過ぎているんですよ。

閣下 ああ、キッチリ一行の文字数が揃っていたねぇ。

羽田 それがヤバイ殺人犯みたいだなって。犯行声明文みたいじゃないですか。

ブルボン 几帳面な性格がゆえに事件を起こす人みたいな……。でもいい歌詞だよね。かつての閣下が書いたかも知れないような、懐かしい感じのする歌詞。

羽田 今回、歌詞を渡されて、どういう曲にしようというのはすんなり行ったんですか?


閣下 うーん、こういうことをやってみようかな……というのは思いついたかな。たとえば、羽田くんの作った歌詞は生真面目な言葉が並んでいるから、曲自体はちょっと明るくてノリやすい物にしようと思ったな。これでドロドロした音楽がついていたら、ホントにドヨ〜ンとしちゃうから。

ここで、即興作曲したおどろおどろしいメロディに乗せた「Stolen Face」を披露する閣下。……サービス精神旺盛!

羽田 なんか……今回のアルバムは、閣下が今までに作ってこられた曲のテイストと似ている……ファンたちが聴きたい曲を作ってくださったと思うと同時に、細かく聴くと新しい、あんまり今まで聴いたことがない部分もあるなというのを感じましたね。

閣下 聴き手側はある程度、聴き慣れた感じの曲が入ってる方が安心はするんだろうけど、作り手側としては新しいアルバムを作るのに、今までと同じ物を作っても面白くないからね。今回は、3人のゲスト作詞家という新しい血が入ったこともそうだけど、自分で書いた歌詞に関しても、「今までこういう歌詞を書いたことがないな」という新しい挑戦をしているな。

ブルボン これまではわりとエッセイというか、物語的ではない歌詞だったんだけど、今回は物語を意識されたと言っていましたね。

閣下 全曲ではないけども、ある程度の曲ね。

ブルボン 「てふのやうにまひ」とか「Shibuya Scrambled Crossing」ですね。でも、物語を作る方が難しいんじゃないですか?

閣下 ……小説家の人にそう言われちゃうとねぇ。

羽田 普段、自分たちのやっていることを難しいって、自画自賛もいいところですよ!

閣下 まあ難しいけれども、歌詞なんでね。本物の小説ではもっとディティールを考えなければならない部分も、歌詞であるということではしょっている部分はあるので。

ブルボン 閣下は、いわゆる映画の主題歌やストーリーのあるもののタイアップのときは歌詞がスラスラできると言っているじゃないですか。あらかじめストーリーがあるもの、お題を与えられて、そこから広げるのが得意ということですよね。だから、今回は歌詞を作るに当たって、架空のドラマを設定しているんですよね!

閣下 ……それをね、例え事前に知っていても君が全部言わないで、吾輩に言わせればいいんだよ! それがインタヴューってものだよ!

ブルボン あっ、今オレ、徹子っぽかった! 徹子も全部言っちゃうんですよね(場内笑)。最近は、iPodでシャッフル再生しちゃうことが多いんですが、このアルバムをサンプルで頂いたときに、たまたまクルマで移動する用事があったので、カーCDで1曲目から聴いてみたら……すごくクルマと合うんですよ!

閣下 1曲目(「深山幻想記 序曲」)ってクルマに向いてるか!?(客席爆笑)

ブルボン 1曲目はまだ青梅街道とかに出ていないからいいんです。細い路地を走ってて本格的に走り出してないから。青梅街道に出る頃に2曲目の「ゴールはみえた」で景気よく走り出して! 「Just Being ─ここにいる そこにいる─ 」なんかは静かな曲なんだけど、妙にクルマの疾走感とマッチするんですよね。

気さくすぎますよ、ブルボンさん


羽田圭介といえば、芥川賞の受賞連絡を待つときにデーモン閣下メイクをしていたということで話題となったことを覚えている人も多いだろうが、その場に同席していたブルボンからそのときの裏話が語られた。

ブルボン 羽田くんと聖飢魔IIの話をするようになったのは、ある文学賞の授賞式にお祝いに行ったときで。2次会の会場に男たちだけ何人かで先にタクシーで乗り付けたらそこにカラオケ装置があって、「歌って待とうか」ということになったんですよ。そうしたら突然「地獄の皇太子」が流れ出して……誰が歌うんだと!? 番号の入れ間違いみたいな事かとすら思っていたら、羽田くんが何のためらいもなく歌い出して!

羽田 歌いましたね。

ブルボン それがすごいロックだと思ったわけ。ボクは高校時代からそういう音楽が好きで愛聴してきたけど、場の空気を読んじゃって、カラオケでは大勢が好きそうな曲をつい選んじゃってたの。なのに羽田くんは、てらいなく……ものすごい熱唱だったんですよ。オレは間違ってたなと!

閣下 ああ、それまでお互いに聖飢魔IIが好きだって知らなかったんだ。

ブルボン それで、羽田くんが芥川賞候補になったときに「待ち会」をね。待ち会っていうのをやるんですよ。落選したら編集者が落ち込んだり微妙な空気になるから、わざと楽しいことをして待つ。それで「羽田くん、地獄カラオケをやろう」と!

閣下 地獄カラオケ(笑)ここにいる人たち、みんなやったことあるでしょ、地獄カラオケ。
(会場から多くの同意の拍手が起こる!)

ブルボン 今日ばかりは我々が本当に歌いたい歌を熱唱しようじゃないかと。そういう事をやっていたら授賞したんですよ。

羽田 あのとき、女性編集者とか女性作家もいらっしゃってたんですけど、あんまりハードロックに詳しくない人が多くて。折衷案として、閣下がカバーした女性ボーカリストの曲(アルバム『GIRLS' ROCK Best』)とかを歌ってて……ブルボンさんはかなり不満げな感じでしたね。

ブルボン 普段はこっちが合わせて耳障りのいい曲をサービスしてやってるんだから、今回は君たちが地獄を勉強してこいよと。……でもまあ、さすがにそれくらい許容しないと誰も歌えないからね。でもボクは不満でしたよ。

閣下 「地獄の皇太子」を歌ったのは分かったけど、あとは何を歌うの?

ブルボン 芥川賞を受賞したって連絡が来たら聖飢魔IIの「WINNER!」を歌って。あとは「ARCADIA」のサビを「芥川」に代えて歌ってましたね。

閣下 不遜な歌詞だね、それ。「限りない未来あくた〜がわ〜」って(笑)。

ブルボン いいですよ、地獄カラオケ。閣下……世を忍ぶ仮の姿で一緒にカラオケなんてどうですか?

羽田 なんてことを……! 恐れ多い! 気さくすぎですよ、ブルボンさん!

ブルボン いいんだよもう、一度しか生きられないんだから。閣下だってイヤなら断ればいいんだもん。

羽田 ええー……。

ブルボン ああそうなんだ。閣下が「行くよ」って言ってくれても羽田くんは来ないんだ。

羽田 まあ、でも……本業のことは恐れ多いって気持ちがありますね。

ブルボン そう言われてみると、大それた事を言っているような気がした……。

しかし、閣下から「普通に飲みに行くのはアリなんじゃない?」という返事をもらえて、ものすごく嬉しそうだったのが印象的だった。

イベント前の予想通り、ブルボン7:閣下2:羽田1……くらいの発言量で、誰がゲストで誰が司会者なんだ感のあるイベントではあったが、客席は爆笑の連続でものすごく盛り上がっていたので、結果オーライだろうか。

すっかり忘れていたけど、このイベントは閣下のソロアルバム『EXISTENCE』、そしてリリース記念ツアー「ONKYO&PioneerPresents『DEMON'S ROCK "EXISTENCE" TOUR, DC19』」に向けてのもの。

ネタバレを嫌う閣下なので、ツアーの詳細は明かされなかったが、とりあえず『EXISTENCE』を聴き込んで来て欲しいとのこと。


そしてブルボン&羽田も、もちろん(客として)参加する予定なので、会場で見かけたら声をかけてあげてください。
(北村ヂン)