今日からNHK総合にてスタートする土曜時代ドラマ『みをつくし料理帖』。このドラマ、時代劇好きじゃなくても十分期待していいと思うのだ。

物語は、大坂で生まれた天涯孤独な少女・澪(みお)が料理の腕だけを頼りに江戸に出て、さまざまな人物とふれあいながら困難を乗り越え、一流の料理人になるというもの。いわば人情料理時代劇だ。

時代劇+料理というのは池波正太郎の頃から鉄板で、今でも多くの小説やコミックが出版されている。なかには『武士の献立』や『信長のシェフ』のように映画やドラマになるものも少なくない。


原作となった高田郁の小説は、全10巻で累計300万部を突破するベストセラー。一度、北川景子主演でドラマ化されているが、今回あらためてドラマ化されることとなった。

主人公の澪を演じるのが黒木華。ミステリアスな侍・小松原役に森山未來、青年医師の源斉役に永山絢人、かつて澪を助けた元女将・芳役に安田成美、澪がつとめる料理屋「つる家」の主人・種市役に小日向文世……と、なんかいい感じじゃないですか?

黒木華、永山絢人、小日向文世といえば、火曜ドラマ『重版出来!』を思い出す人も多いと思う。新人編集者・黒沢心(黒木)と彼女が担当する新人漫画家・中田伯(永山)、そして中田の師匠・三蔵山龍(小日向)だ。『みをつくし料理帖』の原作では、この3人で行動するシーンも多い。『重版出来!』ファンなら心躍るはずだ。

ほかにも、柳下大、大倉孝二、成海璃子、萩原聖人、伊武雅刀、国広富之らが脇を固める。

脚本を担当するのは、朝ドラブームの嚆矢となった『ちりとてちん』、木曜時代劇で評判となった『ちかえもん』の藤本有紀(前者は5/17発売予定の木俣冬の新書『みんなの朝ドラ』、後者は近藤正高によるレビューで詳しく解説されている)。緻密な構成に巧みな言葉遊びが盛り込まれ、それでいてたっぷり泣かせてくれるのが藤本脚本の特徴だ。

そういえば、『ちりとてちん』は福井の少女が大阪に出て女流落語家になる話。『ちかえもん』は江戸時代の大坂を舞台にした時代劇だった。両方をフュージョンさせると『みをつくし料理帖』になる……ような気がする。

『ちりとてちん』で居酒屋の主人を演じていた木村祐一が今回は「つる家」にやってくる料理にうるさい常連客、そして『ちかえもん』で主人公の近松門左衛門を演じていた松尾スズキが澪のライバル店「登龍楼」の主人役で登場するのも、両ドラマのファンとしてはうれしい。

繰り返しになるが、『ちりとてちん』『ちかえもん』『重版出来!』が好きなら、このドラマを見ても損はないだろう。本日18時5分から、全8回。
(大山くまお)