磐田との1、2本目とも出場した市丸は、正確なパスで先制点の起点にもなった。

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[練習試合]U-20日本代表 1-0 磐田/5月12日/ヤマハ

「思ったよりはできましたけど、全然ミスもあるし、前半に関しては持ち味を出せなかったので、キックオフからもっと積極的にいければよかったかな」

 2ボランチの一角で唯一、60分(30分×2本実施)ピッチに立ち続けた市丸瑞希は、磐田戦の出来をこう振り返った。「まだしっくりきていない」と言わんばかりに、どこか不満気な表情を見せた一方で、充実感も覗かせたのは試合勘を少しでも取り戻せたからかもしれない。

 プロ2年目の今季、公式戦での出場機会は「ゼロ」。今大会のメンバーにも選ばれているチームメイトたち(堂安律、郄木彰人、初瀬亮)が出番を得ている一方で、まともに試合に出られていない状況に不安が膨らむのも無理はない。

「チームで1分も1試合も試合に出ていなかったし、そんななかで(代表の)ドイツ遠征とかも行きましたけど、(メンバーに)入れるかって言われたら全然分からなかったし、不安はいっぱいありましたね」

 卓越した戦術眼とパスセンスの持ち主で、昨年10月のU-19アジア選手権では中盤のコンダクターとして特筆に値する働きを見せている。同大会の初制覇に貢献したひとりには違いないが、コンディションが整わなければ、ワールドカップへのメンバー入りは当然危うくなる。

 ただ、内山篤監督が「攻撃時にゲームを作れるクオリティを持っている」とメンバー選考時に明かしたように、市丸への信頼は揺らがなかった。その期待に応えるかのように、磐田戦でも持ち前の正確なパスでゲームを構築。24分に生まれた先制点は、市丸の縦パスから生み出された。

「チームで出られていなかったので、ここ(代表)で出てチームにアピールしたい。世界で戦えるのは限られた選手しかいないし、良い経験にって簡単には言えないですけど、これからの人生につなげていきたい」

 本大会に向けてこう力強く誓った市丸は、G大阪の先輩・遠藤保仁から激励の言葉を受け取った事実も明かしてくれた。

「『頑張ってこいよ』とは言われました。自分たちの記録越えてこいとかなかったですけど、人生変わるぞと」

 言うまでもなく、遠藤は1999年のワールドユース(現・U-20ワールドカップ)で準優勝という輝かしい成績を残した黄金世代のひとり。偉大なる先輩たちが残した功績に一歩でも近づくために、戦う覚悟はできている。

「(メンバーに)選んでもらえたっていうのを感謝しながら、選ばれなかった選手たちの分の気持ちを背負って頑張りたいです」

 アジアで輝いた実力を、今度は世界大会で見せつける。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)