“あの世”って意外といいところかも…死が怖くなくなるガイド

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 時代はもはや終活を越え、ビヨンド終活へ向かっています。辛酸なめ子(漫画)+寺井広樹(文)共著の『あの世の歩き方』は、臨死体験や天国体験や宇宙人体験をした12人を取材し、カジュアルに綴った“死後ガイド”です。

◆臨死体験は「めちゃくちゃ気持ちいい」

 まずは「図らずも『あの世』を見てしまった人たち」。

 自然療法医でありマスターヒーリングミニスターの小林健氏はなんと5回も臨死体験したというベテラン。「臨死で宇宙に行くとめちゃくちゃ気持ちいい。千人くらいの女性にマッサージしてもらったような」。想像するだけでうっかり死んでしまいたくなります。

 しかも同じ神様に何度も会い、この世に追い返されたとか。格安ツアー並みの手軽さであの世に行けるなんて、うらやましい気さえしてきます。

 次いで「『あの世』と『この世』を自在に行き来する人たち」の体験談へ。モンロー研究所公認レジデンシャル・ファシリテーターという、異次元感がただよう肩書きの坂本政道氏は「ヘミシンクで体外離脱やあの世への旅ができ、亡くなった人との交流も可能になる」と言います。

 ヘミシンクは、左右の耳で異なる周波数の音を聴くことで意識を変容させ、対外離脱や死後の世界の探索ができる技術です。CDはamazonでも買えますが、素人が安易に入手するのはどうかと思われます。

 しかも坂本氏によると、私達も「夢で頻繁に死後の世界を訪れている」というのです。知らずに臨死体験しているのでしょうか。坂本氏いわく、行き来しているのは潜在意識だけで顕在意識は覚えていないそうです。

◆「死の体験旅行」って?

 物質的な旅支度も費用も天候も無関係、必要なのは運とタイミングと特殊な力だけという(かなりハードル高い)あの世ツアー。

「あくなき『あの世』の探究者たち」では、あの世に行くための準備、つまりこの世の過ごし方をおしえてくれます。「俱生山なごみ庵」住職の浦上哲也氏は「イメージの中で死を体験する『死の体験旅行』で、本当に大事なものは何かを突き付けられる」と説いています。

「死の体験旅行」ってVRの世界かと思いきや、アメリカで考案されたというワークショップで死にゆく気持ちを疑似体験できるというもの。人生を登山と捉えたとして、頂上を先取りイメージングしておけば、道中もさほどうろたえずにすみそうです(頂上が死というのもなんですが)。

◆「あの世」があるなら…意外といいところかも

 死後の世界=あの世を想像する時、人は恐怖にかられます。それは幽霊や物の怪のイメージ、あるいは「嘘をつくと地獄に落ちる」とか「死後裁きにあう」などの戒めが心に植え込まれているからかもしれません。

 本書を読むと、あの世とは恐怖ではなく、むしろ心地の良いものに思えてきます。だからといって「早く死のう」と推奨するものではありませんが。

「今世で体得したことが来世に持ち越される場合も多いことがわかってきます。生まれ変わりを信じるからこそ、今世は無駄にならないし、無駄にできませんね」と、中部大学教授兼バージニア大学客員教授の大門正幸氏が言うように、この世あってのあの世です。

「あの世を考えることは、この世の生き方を考えること」と、辛酸なめ子さんもまとめています。あの世とは遥か彼方にある楽園ではなく、この世の人生が反映された、各自それぞれに用意された新たな人生なのかなと思うのです。

<TEXT/森美樹>