飲料市場で存在感高まるフレーバーウォーター

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「今日からレモンティーは透明になります!」とのキャッチコピーとともに3月下旬に発売された飲料『サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA レモン』(サントリー食品インターナショナル)が注目を浴びている。

 ネット上では、〈透明なのにレモンティーの味がしっかりして不思議な感じ〉〈すっきりして甘すぎないのがよかった〉など、驚きと同時に中味を評価する消費者の声が多く見受けられる。

 サントリー天然水といえば、2015年4月に発売した『南アルプスの天然水&ヨーグリーナ』が大ヒットとなり、生産が追い付かず品切れになったのは記憶に新しい。見た目は無色透明の「水」なのに、味は「ヨーグルト」という斬新なアイデアも受け、“フレーバーウォーター”と呼ばれる飲料カテゴリーの市場拡大に貢献した。

 ほのかな果汁や炭酸などが含まれる透明なフレーバーウォーターは、もともと日本たばこ産業が1996年に発売した『桃の天然水』が先駆けといわれるが、市場が一気に広がったのは、日本コカ・コーラが2010年より『い・ろ・は・す』シリーズを数々投入して以降だ。みかん、りんご、アロエ、トマトなど、フレーバーは多岐にわたる。最近ではスパークリングタイプのぶどうやレモン、梨やイチゴの「あまおう(地域限定)」まで登場させた。

 また、アサヒ飲料からは、炭酸飲料の『ウィルキンソン』ブランドに透明のコーラ(タンサンドライコーラ)を加えたり、『おいしい水』にカルピスの乳酸菌を入れた飲料を出すなど、各メーカーから次々と発売される“味つき透明飲料”の商品群は増える一方だ。

 飲料総研の調べによれば、2016年に2億7050万ケース(1ケースは500ml×24本換算)あったミネラルウォーター市場に占めるフレーバー&スパークリングウォーターの構成比は17%(約4500万ケース)だった。

 同社の宮下和浩氏が、フレーバーウォーター人気の理由を語る。

「既存のミネラルウォーターブランドを冠しているフレーバー商品が多いため、健康に良いイメージを持たれているのが大きいでしょう。

 一般的な果汁入りジュースでは糖分も多く高カロリーですし、かといってミネラルウォーターばかり飲んでいても飽きがきます。そこで、少しは甘さがありながら、すっきりとヘルシーに飲めるという点が支持されているのだと思います」

 だが、その一方で「水でも清涼飲料でもない」ジャンルに敬遠する声があるのも事実だ。

「無色透明なのに味がついていると、かえって不自然で違和感があります。しかも、どの商品を飲んでも味わいが薄いので、どうしても中途半端な飲み物という印象が拭えません」(40代主婦)

 ならば、しっかりとした味付けに改良すればリピーターも増えるのかといえば、そう単純でもない。

「最終的には味の勝負になってきますが、あまりにも風味を強くしてしまうと、大本となっているミネラルウォーターブランドとのギャップが生まれてしまいますし、健康イメージも壊れかねません。新ブランドを立ち上げればそうした悩みも解消されるのでしょうが、一から広告投資をかけて商品を育てていくのは容易ではありません」(前出・宮下氏)

 そうした状況下で、フレーバーウォーター人気は頭打ちになっているとの見方も出てきた。飲料総研の調査でも今年に入ってから各社の主力商品が揃って販売数量を落としているという。

「ひと通りの果物フレーバーは出尽くしてしまいましたし、レモンティーなど透明なイメージとは程遠い斬新な新商品を出しても、以前のヨーグルトやコーラを超えるほどのインパクトを持たれなくなっているも事実。

 フレーバーウォーター自体の市場が広く認知されたため、発売時の驚きや興味買いを長続きさせる商品が生まれにくい状況といえます」(宮下氏)

 イギリスでは〈世界初のカラーレスコーヒー〉と謡う透明コーヒー『CLRCFF(Clear Coffee)』が発売されて大きな話題を呼んでいるが、日本のフレーバーウォーターはさらなるヒット作の登場で市場を賑わせ続けることができるか。