いまメディアで話題の「マレーシア大富豪」をご存じだろうか? お名前は小西史彦さん。24歳のときに、無一文で日本を飛び出し、一代で、上場企業を含む約50社の一大企業グループを築き上げた人物。マレーシア国王から民間人として最高位の称号「タンスリ」を授けられた、国民的VIPである。このたび、小西さんがこれまでの人生で培ってきた「最強の人生訓」をまとめた書籍『マレーシア大富豪の教え』が刊行された。本連載では、「お金」「仕事」「信頼」「交渉」「人脈」「幸運」など、100%実話に基づく「最強の人生訓」の一部をご紹介する。

セールスとは「売る」ことではない

 人脈――。
 これは、成功をつかむために非常に重要なものです。
 私は、コネもお金もないままマレーシアに飛び込んだので、ゼロから人脈をつくり上げる必要がありました。その第一歩は「下働き」です(連載第5回参照)。染料の営業マンとして、マレーシア全土を月間5000kmも走り回って、すべての繊維工場を訪問。お客様のためにありとあらゆることをしました。これが、私のキャリアの根っこにあります。
 ただ、「下働き」だけでは、独立するチャンスを得ることはできません。独立するには、誰かの「投資」を受けるに値する人間にならなければならないからです。「下働き」で得た信頼に、プラスアルファする「何か」が不可欠です。それは何か? 決して難しいことじゃありません。必要なのは、セールスマンシップ。「下働き」で築いた信頼をベースに「営業」をするのです。

 ただ、ここで間違える人が多い。営業とは、何かを売りつけることではありません。相手が「得」することを提案することです。相手が「得」すれば、こちらにも「得」を与えてくれる。これが、ビジネスの本質です。

 この関係を築くことができるようになれば、どこでも生きていける。成功のチャンスも訪れるのです。そして、この関係を築いていくのがセールスマンシップです。だから、私は、セールスマンシップはあらゆる人が備えるべき「武器」だと考えています。

 特に、「持たざる者」にとって、セールスマンシップは必須だといえるでしょう。なぜなら、セールスマンシップを発揮するために、実は「モノ」は必要ないからです。元手がゼロでも、営業はできる。ここに、セールスマンシップの秘密が隠されているのです。

 どういうことか?
 たとえば、私が当時から心がけていたのは情報収集です。
 多くの人とビジネスの話をする過程で、最新のテクノロジーや製品などの情報を収集していたのです。そして、その情報を必要としている人に提供しました。いわば、情報流通の中継点となったのです。

 これは、非常に有効です。
 なぜなら、重要な人物と定期的に会うことができるようになるからです。「小西はいつも何か新しい話をもってくる」「小西と会うと得をする」という期待感をもってもらえれば、相手が積極的に会ってくれるようになる。セールスにおいて、最初の障壁(しょうへき)はアポイントです。相手が“偉い人”であればあるほどアポイントが難しい。しかし、「いい情報」を持てば、相手から「会おう」と声がかかるようになるのです。

 しかも、元手はゼロ。身ひとつ、さまざまな関係者の間を行き来するだけで情報は手に入るのです。重要なのは、相手から「いい情報」を与えられるような関係性を築くこと。そして、それを必要としている人に提供すること。この意識をもつだけです。

 もちろん、私には扱いきれないような専門的知識を求められることもあります。そのときには、人の媒介(ばいかい)になればいい。たとえば、染料メーカーの技術者に来てもらって知恵を貸してもらえれば、繊維工場に「得」を提供することができます。情報と同じで、「いい人」=「能力のある人」との信頼関係があれば、人の媒介としてセールスマンシップを発揮することはできます。「元手がゼロ」でも、媒介として機能できれば、相手に「得」を与えることはできる。これが、セールスマンシップの基本なのです。

 こうして、私は、相手に「得」を与えることに徹しました。その結果、私にも「得」が戻ってきました。無理に売ろうとしなくても、自然と売上は増えていったのです。それだけではなく、セールス活動で積み重ねた信頼が、その後、私に訪れた危機を救ってくれたのです。少々長くなりますが、その経緯をお話ししましょう。

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