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ミネソタ大学の研究チームは、極めて高い導電性を有するナノ薄膜材料を発見したと発表した。バリウム-スズ酸化物(BSO: BaSnO3)のナノ薄膜であり、この種の材料としてはこれまで報告された中で最高の導電率を示すという。ITO膜を代替可能な材料として、高速・低消費電力で動作する電子デバイス、高効率太陽電池などへの応用が期待される。研究論文は、科学誌「Nature Communications」に掲載された。

今回報告されたBSOナノ薄膜は、室温条件で104S cm-1(ジーメンス毎センチメートル)超の導電率を示す。キャリア濃度3×1020/cm3における室温条件での電子移動度は最大120cm2V-1s-1(平方センチメートル毎ボルト毎秒)であり、バンドギャップ3eV(電子ボルト)のワイドギャップ半導体でもある。

高い導電率と大きなバンドギャップを兼ね備えているため、タッチパネルなどに使われる透明導電性フィルムの材料として理想的な性質をもっているといえる。現在、透明導電性フィルムにはITO膜(酸化インジウムスズ)を使用するのが一般的だが、インジウムの価格は高騰傾向にある。インジウムと比較すると、バリウムもスズも安価な材料であるため、導電率の高さでITO膜に匹敵する今回のBSOナノ薄膜はITO代替材料としても注目される。

これまで研究報告されてきたBSO膜との大きな違いは、通常のスズの代わりに、スズの有機金属化学的な前駆体としてヘキサメチル二スズ(Hexamethylditin)を使用したことであるという。これにより、化学反応性が高まり、金属酸化物の形成プロセスが良化。膜厚、組成、欠陥密度の制御がしやすくなったことで、導電率の向上が実現したとする。

研究チームは、材料の欠陥を減らすことができれば、BSO膜の導電率はさらに向上する余地があり、新たな物理学的発見につながる可能性もあるとしている。また、今回開発した手法と同様のプロセスが、他の材料系に幅広く適用できる可能性もあるという。

(荒井聡)