ウォーレン・バフェットと過ごした2日間 内向的指導者に学んだ3つの教訓

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ウォーレン・バフェットは世界で最も偉大なビジネスマンの一人であると同時に、内向的なことでも知られている。そのため先日、ネブラスカ州オマハで約100人の大学生と共に彼とほぼ丸1日過ごせたことは素晴らしい経験だった。

私は2006年にも、マギル大学の学生40人を連れてオマハにあるバフェットの事務所を訪問し、市内にある彼の行きつけのレストランでゲストとして昼食を共にしている。バフェットの投資会社バークシャー・ハサウェイの年次総会が今月開かれたことを受け、私はこの経験を共有しようと考えた。

今回の訪問には、内向的リーダーシップの研究者としての私の目的をしっかり意識して臨んだ。過去3年の間、私は企業の重役250人以上に対し、「Cスイート」と呼ばれる経営幹部層(主にCEO)の中の内向的な人物に関してインタビューを行ってきた。物静かだったり、内向的だったりする指導者がどのように行動するのかを観察するため、こうした重役たちの一部に密着したこともある。

そのため今回訪問の話が出たときには、世界で最も著名な投資家・ビジネスリーダーの一人であり、内向的な人物としてもよく知られるバフェットの行動を観察できることに興奮した。

私はかつて、内向的な人が果たして素晴らしい役員になれるのかと疑問に思っていたが、その考えは今はっきりと消えつつある。バフェットは世界中がその言動に注目する偉大なビジネスリーダーだ。私の学生の非常に多くがこの訪問への参加を希望した。

質疑応答、昼食、グループ写真撮影、短い雑談を通して実際にバフェットを観察し、3つのことが印象に残った。思え返せば10年前の訪問でもこの3つの特徴は明確に見えていた。これらは内向的な人の特徴でもある。

1. 知ったかぶりはしない

まず気づいたのは、バフェットは気楽にくつろいだ様子、かつ非常に威厳のある口調で語る一方で、自分の知識にあるものしか口にしないこと。私たちの研究では、これが内向的な指導者の大きな特徴であることが分かっている。

私のような外向的な人間は、流れに合わせて話を作ってしまう傾向がある。もちろんこれが問題に発展することもあり、そうなってしかるべきだ。内向的な人は外向的な人に見劣りしないコミュニケーション能力を持っている場合もあるが、自分の知識の範囲から足を踏み出すことはめったにない。年齢と経験を積んだバフェットの専門分野は非常に多岐にわたるが、彼はそれ以外の分野で偉そうに持論を述べることはなかった。

2. 言葉へのこだわり

次に印象に残ったことは、深く考えた巧みな言葉遣いにより、バフェットの返答がまるで宝石のように感じられたことだ。学生は事前にバフェットの経歴に関する本を読み、インタビューをいくつも見るなど、下準備を怠らなかった。ウォーレンは以前にも聞かれたものと同じ、あるいは似通った質問に対しても宝石のような美しい答えで返答し、信用できる人物だという印象を与えていた。

私たちの調査では、内向的な人は言葉にこだわりが強く、言い回しをめぐって葛藤する傾向にあることが分かっている。議論の際には、事前に周到な準備を行い、頭の中で答えを編集済みのため、その内容は非常に良いものになる。

私は比較的内向的な同僚のヘンリー・ミンツバーグと何度か本を共同執筆している。彼がマネジメント学者・ライターとして成功したのは、そもそも非常に頭の切れる人物で1960年代からマネジメントを勉強してきたことに加え、編集に編集を重ねる執筆方法に秘訣(ひけつ)がある。

言葉遣いにこだわる彼の文章は、大半のマネジメント専門家が書いたものよりも単純に質が良いのだ。外向的な性格の私は、最初こそ少しいら立ちを感じたものの、その成果を見て、文章を書くときはヘンリーやウォーレンのようになろうと心に決めた。2人が記憶に残る言葉を非常に多く残しているのも不思議ではない。言葉を練るのに相当の時間をかけているのだから。