ソフトバンクが5億ドル出資の英VR企業CEO、「新しい世界」を語る

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企業向けにシミュレーション技術やバーチャルリアリティ技術を提供する新興企業、英インプロバブル(Improbable)は5月11日、シリーズBラウンドでソフトバンク・グループから5億200万ドル(約571億円)を調達したと発表した。

2016年にはフォーブスが選ぶ30歳未満の重要人物、「30アンダー30」リストに入ったハーマン・ナルラ最高経営責任者(CEO)と共同創業者のロブ・ホワイトヘッドがインプロバブルを創業したのは、2012年。同社は企業などが複雑なシミュレーションを迅速、かつ低料金で行うことを可能にするプラットフォームを提供している。

今回の資金調達にあたり、ナルラCEOは自社の評価額やソフトバンクが取得する非支配持ち分などの詳細を明らかにしていない。だが、同社にとっての潜在市場は大きい。顧客はビデオゲームメーカー(ボッサ・タジオ)やテクノロジー大手(サムスン)、大学(オックスフォード)、政府機関(英国防省)などさまざまだ。

そのインプロバブルについてフォーブスは2015年、特集記事の中で次のように紹介していた。

「インプロバブルのソフトウェアは、これまでにない大規模でのシミュレーションを可能にする設計となっている。国の医療システムの経済性や、ある国で伝染力の強い感染症が発生した場合に想定し得る状況、巨大ハリケーンが発生した場合の波及的影響などをシミュレートできる」

今回の資金調達を受け、フォーブスはナルラCEOを取材した。以下、その概要を紹介する。

──(インプロバブルが扱う技術は)非常に複雑なものだが、簡単に言うとどのようなものか?

「機械学習とデータ分析によって可能になったことの先にあるのが、インプロバブルが提供するものだ。現在、過去のパターンを調べることは可能だが、例えば経済政策や道路建設、何らかのシステムに介入する、などといった将来に行うことについて考える場合には、そのシステムを完全に再現する必要がある。そして、私たちはデータの分析から行動の再現までを行うことができる。シミュレーションをすることによって、システムがどのように動作するかついての理解を深めることができるのだ」

──資金調達はどのようにして実現したのか?

「初期段階でアンドリーセン・ホロウィッツやホライゾン・ベンチャーズなどのベンチャー・キャピタルから出資を受けられたことは、幸運だった…より大規模に事業を推進する段階に達し、さらなる投資が必要となった。ソフトバンク以外にも出資を受けることについて協議していた相手はいたが、東京に行き、ソフトバンクの孫正義社長と直接会ったことで、同社からの出資を受けることに決めた」

「孫社長は私たちが持つ50年先までのビジョンを受け入れ、本当に理解してくれたと思う。私たちが取り組もうとしていることの野心的な側面、つまり”全く新しい世界をつくり出すこと”には、深く関与し、長期的に考えていくだけの価値がある。また、そうした関与や思考がなければ、私たちが目指すことは実現できない。これは技術的にも難しいことだ」

──その50年先までのビジョンとは?

「誰もがこの世界と別の(複数の)世界の間をシームレスに移動できるようにすることだ。それを実現したいのは、単なる現実逃避のためではない。私たちの生活を豊かにする新たな経験のためだ。お金を稼ぐための新しい方法、新しい経済、何十億人もの人たちによって動かされる新たな世界をつくることだ」

「新しい世界に移住することについて語る人は多いが、新しい世界はここで、私たちがつくり出せるものだと考えている」