カウンタックよりも早くガルウィングドアを採用!

国産スーパーカーの元祖と言えば、童夢-零というイメージが強いかもしれないが、1970年の東京モーターショーに登場し、話題となったマツダRX500を忘れてはいないだろうか?

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のタイムマシンになったデロリアン「DMC-12」(1981年)を彷彿させる、かなり未来的なデザインを取り入れたこのRX500は、マツダ創立50周年を記念して作られた、正真正銘のジャパニーズ・スーパーカーなのだ(RX500=マツダ創立50周年)。

スーパーカーの正しい文法ともいえる、ウェッジシェイプをかなり効かせたボディに、ガルウイングドア(正式には「バタフライウィングドア」)を装着したミッドシップの本格派。RX500の企画は、1968年から。コスモ・スポーツの後継モデルの試作モデルとして、開発がはじまったという。

ガルウイングと言えば、なんといってもランボルギーニ・カウンタックが有名だが、カウンタックの発表は、1971年。このことからも、RX500の先進性がどれほどだったかよくわかるだろう。エクステリアデザインは、マツダの福田成徳氏が担当。

空力をかなり意識して、風洞実験を繰り返しながら、このデザインに行きついたとされる。エンジンはレース用にチューニングされた、10Aロータリー(250馬力)をミッドシップに搭載。ミッションはマツダ初のFF車、ルーチェロータリークーペ(RX87)のミッションを流用。

単なるショーモデルではなくハイスピード走行を想定した内容

決して、デザインだけのハリボテ・ショーモデルではなく、ブレーキは当時のレーシングカーでも珍しい4ポットキャリパー&4輪ベンチレーテッド・ディスクという豪華なスペック。

最高速250km/hからのストッピングパワーを想定したセレクトになっていた。15インチのアルミホイールも、例外的に大きなサイズで、完全にワンオフ。

ボディカラーは当初、マツダのイメージカラーのグリーン、そしてイエロー、シルバーへと塗り直されている。

ライトも最初はリトラクタブルライト風のダミーライト(?)で、のちに埋め込み式のライトに変更。インテリアデザインも、エクステリアに劣らずセンスのいいものに仕上がっている。

このように、かなり本気度の高い入魂の一台になっているにもかかわらず、RX500は量産にはこぎつけず、結局、試作車のこの一台でお蔵入り……。全長4330mm×全幅1720mm×全高1065mm、車重850圓離椒妊が、大きすぎたのがその理由(ボディはFRP製。ドアとフェンダーはABS樹脂製)と言われているが、何とも惜しい!

もし、1970年代前半に、マツダからこのRX500が市販化されていたら、日本のスポーツカー史や世界のスーパーカー史もかなり変わったと思えるのだが……。レーシングカーでも、効率や空力を優先した結果、デザイン的には決して魅力的とはいえないクルマが増えてきた昨今こそ、こういう理屈抜きでカッコいいクルマの登場が待ち望まれるところ。

あらためてRX500を見てみると、「デザインのマツダ」と評判の、今のマツダから、とびっきりカッコいい、次期ロータリースポーツ車の登場を期待せずにはいられない。

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