北朝鮮の脅威のレベルは飛躍的に高まっている

写真拡大

 北朝鮮の東海岸から福岡まではわずか500kmほど。東京まででも約1000kmだ。いざ朝鮮半島有事となれば、日本は様々な被害を受ける可能性が高い。北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射されたとき、日本は現状の防衛力で防げるのか。ジャーナリストの黒井文太郎氏が、日本に起こりうる脅威を指摘する。

 * * *
 朝鮮半島有事となった場合の想定として、「何十万人もの難民が日本に押し寄せ国内が混乱に陥る」と言われています。中には難民に偽装した武装民が紛れ、テロを起こすとの指摘もあります。

 2007年、日本政府は有事で日本に流入する北朝鮮難民を10万〜15万人と見積もりましたが、私は難民の大量流入とテロの可能性は低いと思います。

 難民は、地続きである中国や韓国に流れるでしょう。開戦後の北朝鮮で、船や燃料がそれほどあるとも思えませんし、開戦まもなく戦場は北朝鮮内に限られますから、海路だとしても近くの韓国を目指すでしょう。いったん韓国や中国に逃れた人の中で、日本人妻や帰国事業などで北朝鮮に渡った元在日朝鮮人などが日本を目指す可能性はありますが、それでも最大で数万人程度でしょう。

 それよりも警戒すべき脅威が「偽装亡命機」です。北朝鮮から飛来した攻撃戦闘機スホーイ25が亡命の意思を伝えてきて日本側が着陸を認め、日本の空港にアプローチする途中で、自衛隊や米軍の施設、都市などに自爆攻撃をしかけてくるという可能性です。その場合は、なるべく人口密度の低い地域に誘導しリスクを低減するくらいしかできません。

 日本列島のみならず、朝鮮半島にいる日本人の安全も不安視されています。現在、有事の際に約5万7000人の在韓邦人の救出をどうするかが政府でも検討されています。戦争中に自衛隊が韓国国内で救出活動することを韓国政府は絶対に認めないでしょう。

 これは日本の自衛隊だからということではありません。「反日」といった事情以前に、作戦中に他国の軍隊が出入りすることで混乱を来すからです。他国内での自国民の救出活動は、当事国との合意によって初めて行えるものです。自衛隊の艦艇が韓国の港に接岸することも現状では不可能です。しかし手はあります。自衛隊は艦艇を釜山近海に停泊させます。邦人を釜山に集めヘリコプターで艦艇に移送していくのが、邦人救出の現実的な方法です。

 朝鮮半島で有事となれば、北朝鮮軍の主力は米韓軍によって早いうちに壊滅させられるでしょう。それは北朝鮮もわかっています。これまで北朝鮮はアメリカを本気で怒らせない程度に駆け引きしながら、核とミサイルの実験を繰り返してきました。しかし、いま北朝鮮では核ミサイルの開発は完成、または完成の見通しはついたと見るべきです。北朝鮮はもはや核ミサイルを持った武装国家になったと考えるべきで、それは北朝鮮の脅威のレベルが飛躍的に高まったことを意味します。

※SAPIO2017年6月号