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富士通は5月11日、都内で記者会見を開き、IoTやAIなどのデジタルテクノロジーの活用によりビジネス変革を加速させ、顧客の新たな事業やサービスの創出に向けた、共創のためのサービスプログラムを拡充し、提供を開始すると発表した。

同社では2016年から本格的なデジタル化時代の到来に向けて、共創のためのサービスプログラムを体系化し、顧客との共創活動に取り組んでいる。今回、これまでの経験を踏まえ、事例や技術動向をグローバルに把握するためのリサーチプログラムや、事業化につながるアイデアの具体化を支援するプログラムを追加した。

富士通 デジタルフロント事業本部 本部長代理の柴崎辰彦氏は、共創のサービス強化について「デジタルビジネスの成功に必要不可欠な知識、人材、技術を提供し、知識機動力を高め、共創のサービス体系を強化する。強化のポイントは、ブレークスルーを発見するためのリサーチプログラム、素早く作り・試す『PLY-Dash』、PoC実施移行の事業化への対応の3つだ」と語る。

特に、同氏が強調していたのはリサーチプログラムだ。これは「現地視察」「調査支援」「デジタルビジネス研修」で構成されており、IoTやAIなどのデジタルビジネスの情報をグローバルにおける現地視察や調査、実践者との議論を通じて最新の事例や技術動向の把握を支援し、情報収集・問題発見フェーズに追加する。

これにより、顧客はデジタルビジネスに対応するためのさまざまな情報を幅広く効率的に収集でき、自社の課題に照らし合わせて新たな発見や解決策を見出すとともに、アイデア創出フェーズでの質の向上を図ることができるという。

現地視察は、現地視察のアテンド、訪問レポート作成まで、現地調査による実情把握をサポート。調査支援では国内外のデジタルビジネスへの取り組みやテクノロジーの最新動向について専門家が調査し、レポートする。デジタルビジネス研修は企業のデジタルビジネスを推進・実行する人材育成の研修を実施。また、事業化につながるアイデアをより創出しやすくするために、アイデアをすぐに形にして見せるプロトタイプ開発とアイデア検証の支援を強化していく。

また、顧客とともに共創に取り組むデジタルイノベーターと呼ぶ人材を自社で育成する。この点に関して同氏は「プロデューサー(統括)、デザイナー(提案)、デベロッパー(技術)がチームとなり、顧客に対応する。そのために、デジタルフロントビジネスグループでの実践を通して次世代のリーダー層を育成する仕組みを構築する。顧客、パートナーとともにデジタルイノベーターがチームを結成し、ヒューマンセントリックなサービスを提供していきたいと考えている」と、意気込みを語った。

○共創実践の場を拡充

同社では2016年に東京都大田区に共創実践の場として「FUJITSU Knowledge Integration Base PLY(プライ、以下、PLY)」を開設している。

富士通 執行役員 グローバルデリバリーグループ サービステクノロジー本部長の徳田正之氏は「破壊的なイノベーションが起きている背景には、多くの新技術が登場していることがある。新技術は新たなビジネスモデルやサービスをスピード感を持って提供するとともに、継続的にエンハンスしている。外部サービスを利用し、自分たちが保有するリソースはサービスの差別化に徹底的に集中させることで、スピードを担保している。ただし、顧客は新技術を把握していないと外部サービスを活用していくには難しい側面もある」と、指摘した。

これに対し、同氏は「われわれは新技術に関するスキル・ノウハウの不足に対し、それらの技術を目利きする組織としてサービステクノロジー本部を設置した。マーケット視点での多角的なリサーチを行い、アナリストやスタートアップと意見交換することで新技術を発掘・評価し、ノウハウ構築、展開した上でデジタルイノベーターが顧客に提供している。PLYは顧客と共創を実践していく場であり、4月には実証などを行う『Qube』を福岡市にオープンしており、2018年度中には大阪にも開設し、われわれが展開する実践の場を8拠点に拡大する」と、説明した。

PLYは開設から1年間で同社のSEに加え、企業やベンチャーなど約1万8000人が利用しており、約170のプログラムが実践されるなど、オープンイノベーションの創出に向けた活動が行われているという。

○富士通が掲げる「Digital Journey」

現状の環境認識として、富士通 執行役員常務 デジタルビジネスグループ長の宮田一雄氏は「変化が激しく(Volatility)、不確実で(Uncertainty)、複雑性に満ち(Complexity)、曖昧な(Ambiguity)世界、つまりVUCAワールドが到来しており、経営者は従来のPDCAによる経営では難しく局面に立たされている」と述べた。

そのような状況を踏まえ「日本のIT投資は守り8割攻め2割と、守りを主眼としているが、近年ではその状況が変わりつつある。昨年ガートナーが行った165社の日本企業を対象とした調査では、7割の企業がデジタルビジネスに取り組んでいるという結果が出たが、スキルやノウハウの不足などが課題としてある。日本は米国と違い、ITサービス企業のIT従事者がユーザー企業のIT事業者よりも割合が大きいため、ユーザーとベンダーの共創型ビジネスのニーズ拡大が見込まれている」と、同氏は説く。

そして、同氏は「新しいコンセプトとして『Digital Journey』を掲げ、顧客とともにゴールを模索しながら歩む。組織・人材・技術の強化と共創の場を拡大し、従来のPDCAからOODA(Observe:監視、Orient:情勢判断、Decide:意思決定、Act:行動)ループを考え方のベースに置く。そのため、1月にデジタルフロントビジネスグループを立ち上げ、デジタルイノベーターを育成していく。今後、デジタルイノベーターを2017年度中に現場のSEなどを中心に200人、3年後には1200人に増員していく」と抱負を述べた。

(岩井 健太)