クレーマーや駄々をこねる客を一発で黙らせるフレーズは?

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■勝手な主張を続ける面倒な人たち

粘着質なクレーマーや、商談の最後になって「値下げしろ」やら、「サービスを付けろ」と駄々をこねる客。こちらが強く言えないのをいいことに、いつまでも勝手な主張を続ける困った人もいるものです。

こんなシーン、みなさんの周りでも起きていませんか?

今回の客も、喫茶店に腰を落ち着けるやいなや値引き交渉を始めた。僕は、ひるむことなく、きっぱりと言った。

「もう、十分にお手頃な価格かと存じます」
「大変申し上げにくいのですが、これ以上のお値引きはいたしかねます」

しかし相手は、聞く耳をもたない。とうとう僕は、

「今回ご縁がなかったということになりますと、この物件は他の方にご紹介せざるを得ません。私としましても、とても残念です」

と、遠回しに断った。すると、相手はこう言ってきた。

「アンタ、新人だよね。話にならないから、上司を呼んできてよ」

僕は、相手の目をじっと見つめながら、はっきりと言い切った。

「大変申し訳ございませんが、この件につきましては、すべて私に一任されております」

■発言内容や言葉遣いは絶対にぶらさない

ビジネスシーンにおいては、いろいろな人に出会います。客の立場だから、自分のほうが年上だから、偉いからといった理由で、ぞんざいな言葉で勝手な要求を通そうとする人もいます。

そんなときに、相手につられて自分の心や言葉まで乱れてしまうようでは、難しいシーンを乗り切ることはできません。

ビジネスにおいて一目置かれる人は、発言内容が終始一貫しています。

最初は「値引きはできない」と言っていたのに、相手に詰め寄られて困ってしまい、「すみません、すみません」と心にもない謝罪を繰り返してしまったり、持ち帰っても無駄だと分かっているのに「一度社に戻って相談してみます」と言ってその場を逃げたりするようでは、ますます相手につけこまれてしまいます。

また、言葉遣いをぶらさないことも大切なポイントです。相手につられて敬語を崩してしまい、

「てめえ、訴えるぞ!」
「おう、上等だ! 訴えたければ訴えろ!」

……などと、売り言葉に買い言葉になってしまっては、元も子もありません。

■武器となるフレーズを練習し、自分のものにしておく

交渉を優位に進めるためには、相手の言葉の表面に反応せず、敬語を崩さないまま、淡々と自己主張を続けることが大切です。

そのためにも、不都合なことを述べる際に有効なクッション言葉、

「残念ですが」「あいにくですが」「申し上げにくいのですが」

また、「できない」の敬語表現である

「いたしかねます」

といった多彩な言葉を自分のものにしておき、とっさの場合に使えるよう、準備しておくとよいでしょう。

また、上司を出せと言われた場合や、クレーマーの過剰な要求を突っぱねたい場合など、ありがちな要求に対して武器となるようなフレーズを、あらかじめ練習しておくことも効果的です。

『闘う敬語』には、巻末に武器となるフレーズ25選を収めています。

難しいシーンでも敬語を使って自分の意思を示していく交渉力を、ぜひ身に付けてください。

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大嶋利佳
研修講師、ビジネス書作家。ビジネスコミュニケーション全般に関する研修および書籍、雑誌記事、教材テキストの執筆監修を手がける。著者は『なぜあの女(ひと)の話し方は強くて美しいのか』など多数。近著に『闘う敬語』がある。
 
朝倉真弓
フリーライター、ストーリーライター。実用書やビジネス書の分野では企画やブックライティングを数多く務め、ストーリー仕立ての書籍を得意とする。自著は『女子の幸福論』『いままでで一番やさしい相続の本』など多数。近著に『闘う敬語』がある。
 

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(研修講師、ビジネス書作家 大嶋 利佳、フリーライター、ストーリーライター 朝倉 真弓)