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国内化学でナンバーワンの時価総額を誇り、営業利益率も総合化学トップ3を圧倒する信越化学工業。「トランプ銘柄」として一層の追い風が吹く中、潤沢過ぎる資金の生かし方が宿題となっている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

「ドナルド・トランプ米大統領がメキシコとの間に造ると言っている壁。あれにおたくの塩ビが使われるのでは?」。塩化ビニル樹脂(塩ビ)の世界最大メーカーであるシンテックを米国子会社に持つ信越化学工業の社員は、冗談半分、本気半分でこんな質問を受ける。

 壁の建設はまだ夢物語の域を出ないとしても、トランプ大統領は1兆ドルのインフラ投資に前のめりだ。塩ビはインフラ資材や建材の材料として使われる最も身近な汎用プラスチックの一つ。インフラ投資が増えれば需要が高まるだろうと、信越は「トランプ銘柄」として成長加速が期待されている。

 信越の売上高は約1.2兆円(2015年度)で(図(1))、国内化学トップメーカーの三菱ケミカルホールディングス(HD)の3分の1しかない。しかし時価総額は4兆円を超え(4月18日時点)、国内の化学他社を圧倒する。

 何しろ営業利益率が高い。リーマンショックの後ですら2桁をキープし、15年度も16.3%。7〜8%台にとどまる国内総合化学大手の三菱ケミカルHD、住友化学、旭化成の約2倍もある(図(2))。

 信越は少数精鋭主義。工場の生産性アップへのこだわりもすさまじい。コスト管理を追求するさまは、ちょっとしたカウンターに社員呼び出し用の電話機が置いてあるだけ、という本社の質素な受付にも見て取れる。

 高い利益率を支える製品の一つが冒頭の塩ビだ。今でこそ社を代表する製品だが、実は信越は塩ビの後発メーカーだった。日本市場には入り込む隙がないと他社に先駆けて海外に進出し、世界最大手にまで駆け上がった。

 進出した米国でもすでに12社がしのぎを削っていたが、全量売り切りと工場の合理化を徹底しながら、生産能力の増強をひたすら続けて今のポジションがある。

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