<米朝の緊張を憂慮してローマ法王がノルウェーの仲介による解決を提案。確かにノルウェーには世界各地の紛争で和平交渉を仲介してきた実績があるが>

4月末、テロ組織ISIS(自称イスラム国)によってキリスト教の一派コプト教の教会が相次いで爆破された事件を受けて、ローマ・カトリック教会の法王フランシスコはエジプトを訪問し、暴力を批判する姿勢を示した。

そんなローマ法王は4月29日、ローマに戻る特別機の中で記者会見を行った。アメリカと北朝鮮の緊張が「あまりにもヒートアップしている」と語り、「私は常に外交的手段で解決するようを訴えている」と主張した。そして交渉を仲介できる第三国として、ノルウェーを挙げた。

なぜローマ法王が、ノルウェーを名指ししたのか。その理由は、北欧の小国ノルウェーは世界各地で紛争を仲介してきた実績があるからだ。

昨年、南米コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領がノーベル平和賞を受賞した。サントスは、1964年から政府と内戦を続けてきた国内最大の左翼ゲリラ組織コロンビア革命軍(FARC)との内戦終結にこぎつけ、和平案に合意したことが評価されたのだが、この紛争の解決にノルウェー政府が関与していた。

【参考記事】中国とノルウェーの関係正常化、鍵は「ノーベル平和賞」と「養殖サーモン」

交渉は、2012年からキューバも巻き込んで行われた。ノルウェーの首都オスロで第1回の公式交渉が始まってから、ノルウェーの和平プロセス特使が5年近くにわたってコロンビア政府とFARCの間に立って、交渉を続けた。もちろんノルウェー以外にも様々な国がからんで内戦終結に向けた取り組みが実施されてきたが、最終的にはノルウェーの交渉力が大きかったと言われている。

ノルウェー政府は、コロンビアで見せたような、世界的な和平交渉をノルウェー政府の大事な役割だと考えている。特に1990年代から「和平仲介人」の乗り出し、1992年には中東和平問題の交渉を行って、翌1993年に「オスロ合意」を実現し、パレスチナ暫定自治政府の誕生の道筋をつけた。1996年には中米グアテマラの内戦で、政府と左翼ゲリラである統一組織グアテマラ民族革命連合(URNG)の和平協定調印に導き、36年続いた内戦を終結させた。

南アジアのスリランカでも、ノルウェーは26年にわたり続いたスリランカ政府と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)の内戦終結に重要な役割を担った。1983年に始まった内戦だが、1997年からノルウェーが関与して停戦に合意を実現した。またフィリピンでも、政府とフィリピン共産党など反政府勢力との和平交渉に関わっている。アフリカでは、スーダンや南スーダンの混乱にも深く関与してきたし、そのほかにも世界の紛争で存在感を見せている。

なぜノルウェーはあちこちの紛争に首を突っ込むのか。

山田敏弘(ジャーナリスト)