渡にとって1学年上だった柴崎岳のプレーは「化け物だった」と衝撃を受けた。写真:サッカーダイジェスト

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 今季のJ2は、アグレッシブにゴールを狙う攻撃的なチームが増えた。スペイン人のリカルド・ロドリゲス監督が就任した徳島もそのひとつで、昨季はJ1だった福岡や名古屋と互角以上の戦いを演じ、昇格争いにしっかり絡んでいる。

 そんなチームを最前線で引っ張るのが渡大生だ。これまでチーム最多の7ゴールを奪取。「自分で練習着を洗濯していた」という北九州時代を経た”反骨のストライカー”は、J1昇格を自らの力で手繰り寄せる覚悟だ。

 最新号の「サッカーダイジェスト」に掲載された渡のインタビューの一部を紹介しよう。

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--今季の徳島ヴォルティスは、とても情熱的でアグレッシブな戦いを見せ、しかも上位争いに加わっています。具体的に昨季よりも、どのような点が変わったと感じます?

「昨季よりも前に人を割いているので、パスの出し手との距離が近い。こうして良い距離感を保てているからこそ、僕もゴールから逆算した仕事に専念できています」

――なるほど。

「近くに味方がいるとコミュニケーションも取りやすく、好循環ができています。ゴールへの道筋が整理され、自分の中でも明確になりました。昨季まではなかった攻撃も、少しずつ見せられるようになっています」

――R・ロドリゲス監督の目指すスタイルは、前線からのボール奪取も狙っていて、攻守両面でとてもアグレッシブですね?

「キツイですよ、体力的には。だから大袈裟に言えば、90分持たなくても良いと思って試合開始から全力で臨んでいます。相手DFを疲れさせて、交代して入ったフレッシュな選手が得点に絡めば、僕も嬉しい。出し惜しみはしないタイプです」

――確かに立ち上がりからアグレッシブですね。

「でも割とフル出場したらアディショナルタイムにゴールを決めているんです。だから最後までピッチにいたらいたで、必ずチャンスが来ると信じてやっています」

――渡選手はJリーグで、“這い上がってきたストライカー”という印象があります。プロになるまでの話を、少し聞かせてください。
--広島皆実高の2年時、全国選手権に出場して注目を集めました。

「2回戦で青森山田と対戦して、柴崎岳選手(現・テネリフェ)にコテンパンにやられました(スコアは0-2)。化け物でしたね。とにかく巧くて、これまで対戦してきたなかで、一番驚かされました。櫛引(政敏、現・岡山)もいて、チーム力も高かった。戦前は『実力伯仲の一戦』と言われていたけど、柴崎選手にすべて持っていかれました。ひとりで『チーム』のみならず『試合』を作っていた。衝撃的でしたね」

--そういった刺激を受けて、プロ志向が強まった?

「高校3年の途中までプロになる気はまったくなかったんです。どうせなれないだろうと思っていて、進学先も決めていたんです。そしたら北九州から声を掛けてもらって……。それはもちろん嬉しかったですよ。成り上がりと言いますか、ここから上を目指していくぞと、ハングリー精神に火が付きました」

--広島高陽のジュニアとジュニアユースでプレーされていましたが、プロの登竜門である広島ユースに進もうとは思わなかったのですか?

「サンフレッチェ(U-15)を倒したいと思って、発足したばかりの高陽ジュニアユースを選びました。でも、まったく歯が立ちませんでした。それで隣に(FC東京の真人ら)森重三兄弟が住んでいて一緒にサッカーをするなかで、選手権を目指そうと思い、広島皆実に進みました」

--森重選手との関係は?

「壁を隔てて、隣に住んでいました。どちらも男三兄弟でサッカーをしていて、とても仲が良かった。末っ子の瑞紀(広島皆実、中央大卒)とは幼馴染みで、幼稚園から小、中、高校と学校もサッカーチームも一緒です。常にみんなでサッカーをしていて、二番目の真人とも、よくボールを蹴っていました」