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産業技術総合研究所(産総研)は、日本全国の地質情報を継ぎ目なく(シームレス)表示する「20万分の1日本シームレス地質図」を完全リニューアルし、地質の日である5月10日に一般に公開した。

地質図は、植生や土壌の下にある、地層や岩石の種類・時代・分布、そしてそれらの相互関係を表した地図。地質図によって、地盤の状態や活断層の位置、石炭や天然ガス、温泉、地熱といった地下資源の有無、火山活動の歴史などが分かることから、地質図は資源探査、土木・建築、防災・減災、近年では観光など幅広い分野で利活用されている。

20万分の1日本シームレス地質図は、詳細で高速に閲覧できるウェブサイト上の地質図として広く使われてきた。しかし、地質図が作られた1992年当時とは地質区分の考え方が変わってきたため、今回、凡例を全面的に刷新した。凡例とは、地図で用いる地図記号を解説した表のこと。凡例数はこれまでの386から2400超へと大幅に増加し、より詳細な情報が地質図に表現できるようになった。

主な変更点は、古いバージョンでは、時代によって岩石の区分が一貫性を欠いていたが、今回はそれを統一した。堆積岩は海でたまった物か、陸でたまった物かなど、堆積した場所がわかるようにし、火山岩は、成分の違いによる区分を詳細化した。これによって、地層の種類と災害の発生との相関関係がより正確にわかるという。また、正確な地層・岩石の分布図は地熱、地中熱などの資源分布や非金属資源の探査に役に立つ可能性もある。

さらに今回、産総研は凡例の階層構造化をすすめた。「地質の年代」、「岩石の種類」、「地層・岩石ができた環境」の3項目を階層構造化することで、目的や用途に応じて地質図を表示できるようになった。たとえば、土木・建築分野で、軟弱地盤に関係する地層の種類を詳しく表示する一方、古くて硬い岩石は大くくりで表示できる。また、地震や豪雨による地すべりや土砂災害の軽減対策を検討する場合には、関係する岩石の分布を詳しく表示することで、土砂災害との対応関係が推測でき、安全対策を立てやすい。

同社は今後、活断層などの情報を重ね合わせることができるようにするなど利便性を向上させると共に、ダウンロードデータも用意する予定だ。

(瀬尾俊輔)