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日本オラクルは5月9日、HRテクノロジーのグローバル最新動向に関する説明会を開催した。Oracleは今年4月に、ヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)関連のイベント「Oracle HCM World 2017」を米国で開催するなど、HRテクノロジーに注力している。

日本の企業ではまだ浸透していないように思える「HRテクノロジー」だが、グローバルでは人事にテクノロジーを活用して、経営と連携させていくことに関心が高まっているという。

○これからの人事は経営との連携が必須に

説明会では初めに、慶應義塾大学大学院経営管理研究科 特任教授の岩本隆氏が、ヒューマンキャピタルマネジメントの最新動向について説明した。

岩本氏は、グローバルでは第4次産業革命の進展に伴い、人事のあり方も変革が求められていると語った。変革が求められているものとして、「タレント(人材)が持つべきスキルセット」「働き方」「働き方の変革に対応する組織」「デジタルリーダーシップ」「エンゲージメントを高める企業文化」が挙げられた。

これに伴い、企業の人事に求められる役割も変化しており、人事と経営との連携の重要性が高まっている。人事と経営を連携させる手法としては、デジタルHRとタレントデータと財務・会計データとの連携に注目が集まっている。「タレントデータと財務・会計データと連携をさせることで、生産性が算出可能になり、業務に貢献できる人材を明らかにすることができる」と、岩本氏は語った。

そして岩本氏は、経済産業省の資料をもとに、第4次産業革命による就業構造変革のイメージを示した。国としても、第4次産業革命をリードするための基盤的インフラの1つに人材を据えており、戦略を策定しているところだそうだ。

現状は、将来的にAIやロボットに代替される可能性がある仕事に多くの人が就いている状況だが、目指すべき姿は、AIやロボットを活用して共に働く仕事にボリュームゾーンが移る状況であり、それには、デジタルを活用して仕事がこなせる人材の育成が重要となるという。

○散在する人事データの統合で経営戦略に寄り添った人事を

続いて、日本オラクル クラウド・アプリケーション事業統括 ソリューション・プロダクト本部 HCMソリューション部 部長のc厚徳氏が、同社のHRテクノロジーについて説明した。

同社は、HCM関連のソリューションとして「Oracle Human Capital Management Cloud(以下、HCM Cloud)」を提供しているが、グローバルで2000人の専任開発者がHCM Cloudの開発に携わっている。

昨年6月には、中堅企業向けに、人材採用活動を支援するクラウド「Oracle Talent Acquisition Cloud for Midsize」と、社員の目標・評価管理を支援するクラウド「Oracle Talent Management Cloud for Midsize」の提供を開始した。

津留崎氏は、企業では現在、個々の組織が人事データを部分的に抱えており、従業員について一貫したストーリーを把握できない状況にあると指摘した。

HCM Cloudでは、企業に散在している人事データを単一のデータベースで管理することで、採用活動、選考内定、評価、人材育成、後継者管理、勤務管理など、人事に関するすべてのイベントを統合し、人事に関する意思決定を支援する。

津留崎氏はHCM Cloudの活用例として、機械学習によって入社後の従業員の動向を分析することで、その企業にとっての理想の従業員像を構築して採用基準を見直すとともに、分析結果を選考基準にフィードバックすることで、より優秀な人材を採用することが可能であることを紹介した。

同社は同日、HCM Cloudの教育・研修機能「Oracle Learning Cloud」の国内で本格展開を開始した。利用料金は、1000名以上で1ユーザー当たり200円となっている。

「Learning Cloud」を活用することで、eラーニングや集合研修、バーチャル集合研修形式での研修のほか、動画、ブレンド型学習、ソーシャル・ラーニング、アセスメントなどの幅広い学習形態でコンテンツを展開することができる。「Learning Cloud」上で展開されたトレーニングやテストの実績、組織や従業員の学習実績などは「HCM Cloud」のデータベースに記録される。

「Learning Cloud」の特徴の1つに、ソーシャル・ラーニングが強化されている点がある。「Learning Cloud」において、従業員は自身が作成・公開したコンテンツに対し、受講者からのフィードバックや評判をオンラインで取得することができる。

津留崎氏は、ソーシャル・ラーニングについて、「1995年から2008年のあいだに生まれ、 ポスト・ミレニアル世代と呼ばれるz世代にとっては、研修部門が提供する研修に加えて、従業員が学びを共有するソーシャル・ラーニングが重要だと思われる」と説明した。

現在は、人事担当者の対応の効率化を図るため、問い合わせや回答担当者の割り当てを管理する仕組み、簡単な質問はチャットボットが回答する仕組みを開発しているという。

人事にITを活用と聞くと、大規模企業の話と思われるかもしれないが、従業員が100名を超えると、個人のデータが必要となるそうだ。また、「中堅・中小企業では人事関連の人手が不足しているため、HRテクノロジーに興味を持つ企業は少なくない」と、津留崎氏は話す。

人事関連にはさまざまな業務があるが、採用や勤怠にITを取り入れたいというニーズが高いそうだ。

一般に、人材こそ企業の宝と言われるが、その人材を育成して活用することは簡単ではない。グローバルでは、人材を活用する手段として、HRテクノロジーの導入が始まっており、日本企業も導入するしないは別として、HRテクノロジーについて検討する時期が来ているのかもしれない。

(今林敏子)