倒産・生存企業財務データ 赤字企業率

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 2016年(1-12月)の倒産企業の6割は「減収」で、市場ニーズに対応できない企業が目立った。倒産企業の赤字企業率は49.8%と生存企業の2倍超に達し、倒産企業の61.4%は債務超過だった。
 大手企業の業績に牽引されるかたちで景気は緩やかな拡大を続けるが、業績改善の流れから取り残された中小企業が行き詰まっている構図が鮮明になった。


  • 本調査は、東京商工リサーチが保有する財務情報から3期連続データのある2016年の倒産企業544社(個人企業を含む)と生存企業(32万2,056社)を無作為に抽出、比較した。最新決算データは2016年12月期まで。

2016年倒産企業 「減収」が6割

 2016年に倒産した544社の最新期の総売上高は、3,405億8,136万円(前期比0.05%増、前期3,404億2,720万円)と微増にとどまった。このうち、「減収企業」は338社(構成比62.1%)と6割を占め、売上不振から抜け出せない企業の脱落を浮き彫りにした。一方、生存企業の最新期では「増収企業」は全体の50.2%と過半数を占めた。

赤字企業率 生存企業21.8%、倒産企業49.8%

 赤字企業率(当期純損失を計上した企業数の比率)では、倒産企業は49.8%と半数を占めた。生存企業は21.8%で、2倍超の格差があった。
 倒産企業の赤字企業率は、2014年43.2%→2015年40.6%→2016年49.8%と推移し、緩やかな景気拡大に乗れず業績不振が続く企業の実態を映し出した。
 一方、生存企業の赤字企業率は、2014年21.3%→2015年21.2%→2016年21.8%と、対照的に穏やかに推移している。

倒産企業の有利子負債構成率、右肩上がりの平均65.9%

 借入依存度を示す「有利子負債構成率(総資産に対する長短借入金、社債などの割合)」では、倒産企業の平均は65.9%だった。生存企業の平均29.4%と比べて高水準で、資産に対して適正以上の有利子負債を抱えていることが明らかになった。
 倒産企業の有利子負債構成率は、2014年59.8%→2015年61.4%→2016年65.9%と右肩上がりに上昇している。一方、生存企業は2014年29.2%→2015年29.0%→2016年29.4%と平準化しているのに対し、過大な有利子負債(過剰債務)が経営の足かせになったことをうかがわせた。これは金融機関への返済猶予(リスケ)で、借入金の返済が進んでいないことも背景にあるとみられる。

倒産企業の自己資本比率、債務超過企業が61.4%

 自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)では、倒産企業の平均が▲2.5%(▲はマイナス)だった。自己資本比率は企業の基礎体力や安全性を示す指標で、この比率が低いほど借入金等への依存度が高く、比率のマイナスは債務超過を示す。生存企業の自己資本比率39.2%と比べて、倒産企業の財務内容の脆弱さが際立っている。
 最新期での自己資本比率別の構成比をみると、自己資本比率30%以上では、生存企業が全体の過半数(51.8%)を占めたのに対し、倒産企業は全体の7.5%にとどまった。逆に、債務超過は61.4%(334社)と6割を占め、倒産企業は債務超過に陥っているケースが多いことを裏付けた。

倒産企業の経常利益率、平均▲2.7%

 経常利益率(売上高に占める経常利益の割合)は、倒産企業の平均が▲2.7%だった。生存企業が平均5.8%だったのと比べて、倒産企業の収益力の低さが目立つ。
 経常利益率は、金融収支などを含めた総合的な収益性を反映するため、一般的に比率が高いほど良好といえる。倒産企業では、多額の有利子負債を抱えて金利負担が収益を圧迫したり、受注単価の引き下げなどで利益率が低下したことが影響したとみられる。

倒産企業の当座比率、平均50.7%にとどまる

 倒産企業の当座比率(企業の短期支払能力を判断する指標)は平均50.7%だった。生存企業が平均79.5%だったのと比べて、支払能力の低下を明白に示した。
 当座比率は、短期間に支払い期限が到来する「流動負債」に対し、当座資産(短期間に現金化しやすい現金預金、受取手形、売掛金など)をどれだけ保有しているかを示す。比率が高いほど短期的な支払担保能力があるとされ、当座比率100%以上が安全性の目安とされる。
 倒産企業の当座比率は、2014年58.6%→2015年58.0%→2016年50.7%と年々低下し、倒産企業の苦しい資金繰りを映し出している。

倒産企業の総資産、前期比5.5%減

 総資産額では、倒産企業は前期比5.5%減だった。生存企業の最新期の総資産が同0.6%増だったのと比べ、倒産企業の減少ぶりが目立った。倒産企業では、現預金、売掛債権、有形固定資産の売却、在庫減少などが総資産の縮小につながったとみられる。


 2016年に倒産した企業の3期連続財務データをみると、倒産企業の多くが売上減少と過剰債務に苦しんでいた。倒産企業は体力が脆弱なため、経営不振に陥ると財務悪化が一気に進み、自力再建が難しいことを示している。
 最近の景況データは、完全失業率や有効求人倍率が著しい改善ぶりをみせる一方、人手不足が深刻さを増している。中小企業は業績改善が高いハードルとなり財務内容は年々悪化しているところに、人手不足による人件費上昇などが収益面のさらなる足かせになりえる。