中国政府で台湾問題を所管する国務院台湾人弁公室の安峰山報道官は10日の定例記者会見で、台湾の蔡英文総統が中国を「中国大陸」と呼ばずに「中国」と表現したことを批判した。写真は安報道官。

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中国政府で台湾問題を所管する国務院台湾事務弁公室の安峰山(アン・フォンシャン)報道官は10日の定例記者会見で、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統が東南アジア6カ国のメディアによる合同取材を受けた際に、中国を「中国大陸」と呼ばずに「中国」と表現したことと関連して民進党政権を批判した。

台湾問題に関連して中国語圏では特殊な用語が定着している。例えば「中台関係」という言葉は用いられず、「両岸関係」を使う。「中台」の言い方では「中国」と「台湾」をそれぞれ別の存在と表現してしまい、「台湾は中国の一部」という「一つの中国」の原則に反してしまうからだ。そのため「台湾海峡を挟んだ2地域」を意味する「両岸関係」という用語が慣例になっている。

台湾との対比で中華人民共和国を指す場合には「中国大陸」または「大陸」と表現する。台湾側も「両岸」や「中国大陸」、「大陸」の用語を使ってきた。国民党などが主張する「一つの中国」の立場を取れば「中台」などの表現はできない。「台湾はすでに主権が独立した国家」と主張する民進党も従来からの言い方を踏襲し、中国(大陸)側をことさらに刺激することを避けてきた。

しかし中国は、「一つの中国」の原則を確認したとする「92コンセンサス」を蔡英文政権が認めていないとして、台湾に対してさまざまな圧力をかけきた。台湾側は中国との対決をことさらエスカレートさせる動きはしないが、「屈服はしない」という姿勢を取り続けている。

台湾ではこのところ、5月22日にスイス・ジュネーブで始まる世界保健機関の年次総会(WHA)に、中国の妨害で台湾に招待状が届いておらず、09年から昨年までのように「チャイニーズ・タイペイ」としてオブザーバーとして出席することが絶望的になりつつあることに強い関心が持たれている。馬英九(マー・インジウ)政権下で中国への接近策を推進した国民党の有力者からも、中国に批判的な意見が出始めている。

蔡総統は極端な完璧主義者で、言葉使いについても神経質すぎるほど慎重とされる。そのため、強気姿勢を示すためにも慣例に反して意図的に「中国」と表現した可能性が高い。

10日の定例記者会見で安報道官は、「われわれの両岸関係の問題についての態度は非常に明確だ。世界にはただ一つの中国しかなく、大陸も台湾も一つの中国に属する。両岸関係は国と国の関係ではない。この客観的事実はいかなる者も勝手に否定したり、回避の工夫をすれば変えられたりするというものではない」と主張。台湾の「中国離れ」は絶対に認めないと批判する一方、蔡総統への直接の非難は避けた。(翻訳・編集/入越)