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数年前から国内で盛り上がりをみせているクラフトビール。都内には、さまざまなクラフトビールを生で提供する店が続々とオープンし、その奥深い世界に魅了される人が後を絶ちません。

東京バーゲンマニア編集部は今回、2017年4月にオープン2年を迎えたばかりという話題のお店へ足を運びました。場所は、オシャレな人が行きかう東京・代官山。東急東横線の線路跡地を活用した商業施設「ログロード代官山」の中にあるオールデイダイニング「スプリングバレーブルワリー東京」です。

麦芽を仕込んでいる様子、見たことある?

ウッド調×黒で統一された開放的な空間は、細部にまでこだわりが光り、洗練された雰囲気が漂います。普段は女性客が約6割を占めるそうですが、記者が訪れたのはゴールデンウィーク中のお昼前ということもあり、店内には若い女性グループだけでなく、オシャレなカップルや小さな子どものいる家族連れ、フラッと立ち寄った外国人男性など、さまざまな人たちで賑わっていました。

お店に入ってまず驚いたのは、店内に設置されているブルワリー(ビール醸造設備)が「見える」ようになっていること。ブルワリー併設のお店は都内にもいくつかありますが、こちらでは仕切り壁はもちろん、仕込み釜やタンクそのものも透明になっているため、製造工程を間近で見ることができます。その光景は、さながら工場見学。麦芽を仕込んでいる様子など、なかなかお目にかかれるものではありません。

店内を一通り見て楽しんだところで、お目当てのクラフトビールをチェック。同店では定番の6種に加え、通年ビール、期間限定ビールが用意されており、常時約20種が揃います。4月中旬からは「ふきのとう」、5月上旬からは「はっさく」を使ったクラフトビールが数量限定でラインアップに加わりました。いずれも併設のブルワリーで生まれたオリジナルビールです。

今回、記者は「ふきのとう」をチョイス。山菜×ビールという意外な組み合わせは正直なところ少し不安でもありましたが、一口飲み、その不思議な美味しさに思わずニンマリ。ふきのとうのビールの異なる苦みが絶妙にマッチして、これまでに飲んだことのない新たなビールの味わいでした。

まるで「実験」のような超高性能サーバー

もう1つオーダーしたのが、特注の高性能サーバー「ビア・インフューザー」を使用したビールです。こちらは、ビールにホップやフルーツなどを直接通すことで、香りや風味をつけることができるという優れもの。フレンチプレスのような機器でビールに素材を通す様子は、どこか実験のようでもあります。

今回は定番ビール6種の1つ、ゆずや山椒を取り入れた白ビール「Daydream」に生の大葉を合わせた「和素材」のオリジナルビールを試しました。爽やかな「Daydream」に大葉の香りがプラスされることで一気に複雑な味わいに。日頃からクラフトビールを好んで飲んでいましたが、ふきのとう同様に新たな発見がありました。

初めての方には、定番6種を飲み比べできる「BEER FLIGHT」がおすすめです。フラッグシップビール「496」をはじめ、白ビールから黒ビールまで、個性豊かな自慢のビールを100mlのミニグラスで少しずつ味わうことができます。通常1300円のところ、モーニングタイムとランチタイムは1000円という価格設定も嬉しいところ。さらに「BEER FLIGHT」におつまみを付けた「PAIRING SET」(ビールとセットで2300円)を頼めば、それぞれのビールと相性のいいタパスが楽しめます。

この「PAIRING SET」だけでなく、同店ではビールと料理の「ペアリング」に力を入れています。各メニューは定番6種のどのビールと合うかが示されているので、ワインのマリアージュのような感覚で楽しむことができます。たとえばザクロ入りの「ケールサラダ」にはラズベリーの香りが広がる「JAZZBERRY」を合わせて――といった具合。デザートメニューまで、ぴったりのビールが提案されています。

キリンが提案する「クラフトビールの発信基地」

クラフトビールを生で提供するお店は多々ありますが、「見えるブルワリー」しかり、遊び心たっぷりの個性派ビールしかり、「スプリングバレーブルワリー東京」は知る楽しさで溢れています。実は、同店を運営しているのは大手ビールメーカーのキリンです。

「かつては『とりあえずビール』という風潮がありましたが、今ではチューハイやハイボールなど、お酒の選択肢が多様化しました。量産型とは異なる個性豊かなビールを提供することで、ビールに改めて興味を持ってもらえれば――という思いで始めたのが『スプリングバレーブルワリー』です」

と話すのは広報担当者。

スプリングバレーブルワリーという名前はもともと、日本で初めて商業的な成功を収めたビール醸造所の名前。醸造所があった横浜・山手の地は、その後キリンビールに渡り、キリンビール横浜工場となりました。その後、現在の鶴見区生麦に移り、1991年、工場内にスプリングバレーブルワリーの名前を引き継いだパブブルワリーが完成。2015年にはクラフトビールパブとして、代官山の店がオープンし、横浜の店もリニューアルしました。

「欧米ではヴァイツェン、エールなどさまざまなタイプのビールが飲まれていますが、日本では、のどごしが良い『ピルスナー』タイプが主流です。この店をクラフトビールの発信基地とし、ビールにはもっと色々な味わいがあるということを多くの人に知ってもらえれば」(広報担当者)

同店ではセミナーやイベントも不定期に開催されています。興味のある人はぜひ足を運んでみて。お店の詳細は「スプリングバレーブルワリー」公式サイトへ。