阪神はホームグラウンドの甲子園球場で首位に立った

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ゴールデンウィーク(GW)のプロ野球は中身が濃かった。観客動員も順調で、「プロ野球は生きている」というのが実感である。

プロ野球のGWは2017年4月28日(金)から5月7日(日)まで。試合が行われたのは1日(月)を除く9日間で、セ・リーグ27試合、パ・リーグ26試合の計53試合。

ドラマが詰まっていた。

阪神が9点差を大逆転

-4月-
28日=ソフトバンクの大リーグから出戻り川崎が「1番、二塁手」で初出場し、安打を放つ 
29日=ヤクルトが開幕から3試合完封されていた巨人戦で34イニング目で今季初めて得点
30日=WBC以来、絶不調だったソフトバンク松田が今季初本塁打。中日の大島が通算1000安打(286人目)

-5月-
2日=巨人菅野がDeNA戦でセ・リーグ28年ぶりの3試合連続完封勝ち。オリックス金子が5連勝無敗。ソフトバンク甲斐が育成選手初の満塁本塁打
3日=開幕からどん底だった日本ハムが巨人からトレードで獲得した大田のサヨナラ安打で最下位から脱出。広島の中村祐がプロ入り4年目で初登板初勝利
5日=ソフトバンクの工藤監督が誕生日の試合で監督就任以来3連勝負けなし。中日が5試合連続逆転負け
6日=阪神が広島戦で9点差をひっくり返して勝ち首位に立つ
7日=パ・リーグの楽天が両リーグ通じて20勝一番乗り、負け数7は12球団唯一のひとケタ

この中で出色の出来事は6日の阪神だった。5回表を終わったとき、広島9-0。その裏から反撃に出ると、6回裏に7点を挙げ、7回裏に3点を入れ逆転。12-9で勝ち、首位の座をパワーで奪った。阪神は前日も0-4から追いかけ、7回裏に5点を奪って逆転勝ちしている。

甲子園のファン動員は巨人を抑えて最多

阪神は7日には6-0の完封勝ち。首位攻防戦で3連勝したわけだが、地元甲子園でやってのけたのだから、虎ファンが盛り上がったのはいうまでもない。

「盆と正月がいっぺんに来たような騒ぎ」「30年に一度の珍事」「優勝するかも」

ユニークなファンの声に驚き、感動が込められている。

とりわけ9点差逆転の試合は印象が深い。阪神の金本監督は「長いこと野球をしているが初めての経験」と目を丸くしたのに対し、広島の緒方監督は「絶対に勝たなくてはならない試合だった...」とショックのコメントを残した。

この3日間の甲子園に詰めかけたファンは約14万人。1試合平均4万6000人を動員した。3連戦では巨人を抑えて12球団最多である。阪神をはじめ観客動員はセ、パとも順調で、両リーグ合わせて1日あたりの動員20万人超えは3日から5日までを含め4度を数えた。

近年、テレビ中継が減り、サッカーを始めとする他のスポーツ人気に押され気味と言われているプロ野球なのだが、GWの注目度を見る限り人気健在を示した。「プロ野球は生きている」との感を強くした。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)