2015年の世界エイズの日にエイズ啓発活動のため空に放たれた風船。インド・コルカタで(2015年12月1日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者の平均余命が、1990年代半ばから入手可能となった抗AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)薬により、欧米では約10年伸びていることが明らかになった。研究論文が11日、発表された。

 専門誌The Lancet HIV(電子版)に掲載された論文によると、2008年以降に治療を開始した20歳患者の場合、その平均余命は非感染者とほぼ同等の78歳だという。

 エイズを引き起こすHIVウイルス非感染者の平均余命について、研究チームは、フランスでは男性79歳、女性85歳、米国では男性78歳、女性82歳と説明している。

 また研究チームによると、2008年以降に抗レトロウイルス治療(ART)を開始した患者は、それ以前に開始した患者よりもより健康的に長生きできる傾向があるという。その背景には、薬剤の副作用低減や薬剤抵抗性株に対する選択肢の拡大、その他の感染症や症状への治療法の改善などがある。

 欧米各国で実施された今回の研究では、HIV患者8万8000人以上のデータが参照された。

 論文は、「HIV患者の余命に関する正しい情報や、感染者/非感染者の余命に差がなくなりつつある現状についての知識は、感染リスクのある個人にHIV検査を受けさせるきっかけとなり、また感染者にARTを直ちに開始するよう説得する上でも重要」としている。

 1996年に初めて一般に使用されるようになったARTは、病気を完治させるものではなく、治療も生涯続くが、世界保健機関(WHO)は、HIVに感染との診断を受けたらできるだけ早く治療を開始するようすべての患者に推奨している。
【翻訳編集】AFPBB News